【2022年版】台湾向け越境ECますますピンチ!EZ WAY易利委とその影響

【2022年版】台湾向け越境ECますますピンチ!EZ WAY易利委とその影響

こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

突然ですが、みなさん EZ WAY (易利委) というのを聞いたことがありますか?
台湾越境EC をしている人やこれからする人にとってものすごく重要な制度 (アプリ) なのですが、意外なほど知っている人はいません。

EZ WAY (易利委)とは 簡単に言うと、オンラインで購入した国外の商品を申告できるアプリです。2020年の 5/16から台湾で正式に始まりました。

これがなぜ重要か?その理由は2つです:

EZ WAY (易利委)とその影響

1. 今後2000元以下の商品であっても関税がかかる可能性があること
2. 申告をしない台湾の消費者は商品を受け取れない可能性があること

これらが台湾越境EC をする企業にとってどのようなインパクトがあるでしょうか?まず、国外の商品に無条件に関税がかかる可能性があるということは購入率が下がる可能性が非常に大きくなります。

※そして2022年に何とこの EZWAY が更に強化される事が台湾政府より発表されました。その内容がやばいんです? 何と2022年7月以降は、国外の商品を購入して EZWAY で事前登録をしていない消費者は、購入商品が税関の倉庫についてから7日以内に輸入申請をしないと商品が強制的に返却されることになりました。

ちなみに台湾人の返却率/返品率って知ってますか?高いです?つまり今後台湾向け越境ECは購入率が下がるだけじゃなくて、返品の送料負担リスクが高くなるという事です?

leo

今までリスクなしだった台湾向け越境ECが今はリスクしかない…

そこでこのブログでは EZ WAY (易利委) のご説明と、日本国外から物を送った場合の税率、そしてEZ WAY (易利委)はどのようなアプリかご紹介したいと思います。台湾向け越境EC担当者は必読です!

EZ WAY (易利委) とは?

EZ WAY (易利委) とは

冒頭でも書いた通り、EZ WAY (易利委)とはオンラインで購入した国外の商品を申告できるアプリです。台湾の消費者は申告をしなければ国外の商品が届かなくなります。以下が今後執行される主なルールです:

EZ WAY の主なルール
  • 1. 免税は2000元以下の商品
  • 2. ただし、2000元以下の商品を免税で購入できるのは半年で6回まで (年間12回)
    3. 6回を超えると2000元以下の商品でも課税

参考 (中国語):https://lmoneymoney.pixnet.net/blog/post/322702604-ezway-customs-duty

これをご覧の読者の方は、「台湾の人はそんなに外国の商品は買わないよ…」と思っているかもしれませんが、とんでもないです。例えばiHerb っていうサプリメントを売っている海外サイトがあるのですが、比較的に安い値段でサプリが買えるためものすごく多くの台湾人が利用していました(過去形)

昔は iHerbe で月に1度サプリメントを買う人がいたら、それだけで半年で6回海外サイトで購入していました。では海外サイトで 6回以上2,000元以下の商品を買うとどうなるでしょうか?

無条件に関税がつきます….

関税がつくと物によりますが、元々 1,000元だった商品に郵送費と課税額を入れて + 500~700元 (約2000 – 3000円) になったりします ?

参考 (中国語):買淘寶愛注意!2020 EZ WAY app 註冊、實名驗證、關稅計算教學

また、台湾の税関が厳しくなった事で2021年末にショッキンングな事が起きました。iherb がなんと台湾向けの販売サービスを停止しました。

iherb in 【2022年版】台湾向け越境ECますますピンチ!EZ WAY易利委とその影響
参考:https://technews.tw/2021/11/28/iherb-taiwan/

ネット上は大騒ぎです。愛用者の僕も結構困りました….

関税に追い討ちをかける2022年7月からのルール

日本では消費税が8%から10%になっただけで消費が減ったというデータがあります。もしも海外商品を買う毎に関税として +2000円払うことになったらそれがどれだけの負担か日本に住むみなさんならお分かりかと思います。これに追い討ちをかけるように冒頭でお話しした 2022年の新たなルールが追加されます。

その内容というのがEZWAY に申請をしない購入者は商品を受け取れないというものです。

申請をしないと税関で止まります。今までは税関の倉庫で止まった商品はある程度倉庫に保管されていましたが、今後はマックス7日となります。7日間過ぎて購入者がEZWAY に商品の申請をしない場合商品は強制的に発送された国へ戻されます。

商品が戻された時の送料は送る側が負担します?

leo

4000円の商品に対して2000円ぐらいドブに捨てる事も考えられます…

このことから台湾向け越境EC をする企業は今後4つの挑戦が待っています。

1. 他の越境EC 企業との半年間 6枠の戦い
2. 購入商品が申告されず、戻った場合の送料負担
3. 商品が戻された場合の送料負担を避けるため、購入者が申告したことを確認してから送付する仕組み (購入カートで決済前に EZWAY に登録させるか、購入後すぐにEZWAY に誘導させるような仕組み)
4. 課税されてでも買いたくなる商品の展開

また、現在台湾向けに既に越境EC で苦戦している会社は今後さらに苦戦が予想されます。

今後の台湾進出戦略

今回のルール変更は2020年前まで無法地帯だった台湾向け越境ECに対する台湾政府の強い意志が見られます。要するに、台湾人向けに商売をしたければ、台湾に来てきちんと税金を払えというメッセージかと思います。その結果、iherb は台湾向けの越境サービスを停止しました。

今回の措置で台湾進出は越境EC から始めるという選択肢はますます減ると思われます。また長期的なスパンで事業を見れない企業は台湾進出が難しくなるでしょう。

今後も越境EC での台湾進出はもちろん可能ですが、前章でもお話ししたように越境商品の CVR は今後下がりますし、送料のリスクが常につきまといます。

従って今後台湾で本当に成功したい会社は、台湾に現地法人を作って、商品を自分達で輸入して倉庫に保管して販売できるような会社に限られます。

販売代理を探して進出するやり方もありますが、販売代理は販売代理で倉庫やフルフィルメントの費用、輸入代行手数料がかかるためこれもそれなりの資金が必要です。

いずれにせよ台湾進出はそれなりの資金が必要になるという事です。LP を作って LP にカート機能をつけて、台湾人向けに広告を出して日本から出荷!、というモデルは2022年以降はリスクが高すぎます。

そのため私は以前から言ってますが、本格的に台湾に進出したい企業は台湾に法人を立てて誰かを駐在員として派遣するか、台湾現地で代表者を探して自社で業務を遂行することをお勧めします。

また、台湾に進出したら3年は我慢と考えた方がいいです。これは中国とアメリカに進出して成功をおさめた台湾 SaaS 企業の Kdan の CEO から直接聞いたアドバイスです。

leo

Kdan さんは日本と韓国とアメリカと台湾の投資会社から◯億円資金調達している超優秀な会社です。

だから私は台湾に進出したらまずは種まきのために自分達は何者で、どんな思いで商品を販売しているかというコンテンツを提供しつつ、ユーザーに有益な情報を提供するコンテンツマーケティングを提案しています。要するに我慢しましょうということです。

しかし、多くの会社は台湾進出1年目から種まきよりも目先のコンバージョンばかりを優先して収穫しようとします。その結果多くの会社は購入販路を広告に依存するモデルを作り上げ、広告がないと売上が立たないという薄利で今も台湾で頑張ってます….

leo

Kdan さんは日本進出1年目から僕らにコンテンツ制作を依頼してます?

しかしプライバシー規制の強化とブロックチェーン技術の台頭によりネット広告の効率も怪しくなってきました…

applemint は本気で台湾に進出する日系企業に成功してほしいと思ってますし、売上のためにゴミを売るような事はしません。僕らの提案は全て本心と思っていただけると幸いです。

このブログをきっかけに成功に近道はないと考え、種まきの重要性も理解していただけると幸いです。

以上台湾の現場からでした!


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Leo Sato 佐藤峻

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