こんにちは、台湾でウェブマーケティングのお手伝いをしている applemint 代表の佐藤(@slamdunk772) です!
今日は表題にある通り認知を追うメーカーは台湾でうまくいかなくて、信頼を追うメーカーは台湾で割とうまくいっているというお話をしたいと思います。
よく巷では「認知」と「人気」は違うよなんて話を聞きませんか?人に知られるより人に好かれた方がいいみたいな考えです。マーケティングの専門用語だと前者は aided awareness、後者は unaided awareness に属すると僕は思っています。
aided awareness とは例えば「あなたは applemint を知っているますか?」 と聞かれた時に、Yes と答える人の割合を指します。”aided” とは日本語で「援助された」「支援された」という意味なのですが、ここでは質問される人が「applemint」という情報が補足された状態でそれを知っているか否かを聞かれているからそう言われます。一般にブランドはまずこの aided awareness を上げようとします。
次に、unaided awareness があります。これは例えば「台湾のデジタルマーケティングの会社といったら誰?」と聞かれた時に特定の会社名が想起される割合を指します。
どちらも大事なのですが僕は台湾に進出して間もない会社はまず unaided awareness が大事なんじゃないかなと思っています。そして僕は「信頼」が unaided awareness 向上の鍵になると思っています。
興味深いのが台湾に進出する多くの会社は、自分達のブランドが台湾人に認知されているか否かは意識するものの、自社ブランドがあるカテゴリーで「想起」されるか否かを意識しているようには見えない事です。今日は unaided awareness、つまりブランドの信頼って大事だよねという、とても常識だけどよく忘れる事についてお話します。
広告費をかけなくても売れる某有名メーカー
applemint は最近幸いにも台湾でとても有名なブランドのお手伝いをする事になりました。このブランドは家電製品のあるカテゴリーでとても unaided awareness が強いブランドですです。例えば「自動掃除機と言ったらルンバ」みたいな確固たるブランド力を持ってます。
このブランドさんのウェブ広告のお手伝いをして驚いたのが、全然広告費をかけなくてもちょっとした広告費で商品が売れてしまう事です。あまりの費用対効果の良さに驚きました。例えば 8,000円の広告予算を消化して、80,000円の商品が売れるような感じなんです。
興味深いのがこのブランドさんは自分たちが強くないカテゴリーの商品を広告してもそれなりに売れてしまうという事です。例えるなら、ルンバを売るiRobot社が掃除機ではなく加湿器を発売して広告をしてみたら加湿器が売れちゃうみたいな感じです。
そこで僕は一つの仮説を立てました。ある1つのカテゴリーで unaided awareness が強いとそのブランドが「信頼」され、 そのブランドがその他の商品を売っても売れるのではないか?と。
しかしチョコレートを売る事に関して信頼を得た会社がお寿司を売るってなったらちょっと「ん?」ってなりますが…
また、今回はルンバで例え話をしましたが、ルンバのように「自動掃除機と言えば?」と聞かれた時に想起率が高いブランドは自然と aided awareness (認知) が高くなるのではないかと仮定しました。
つまり、台湾進出初期に狙うのはあるカテゴリーでの想起率であって、認知ではないのではないか?と思い始めました。
広告費を認知向上にかけて売れないメーカー
前章のように少ないデジタル広告予算でとても効率よく売れる会社さんがいる一方でそれなりのデジタル広告予算を出して売れない会社さんがいます。この差はなんでしょうか?
それは紛れもなくブランド力だと思います。でも「ブランド力」って何?って思いませんか?なんか抽象的な表現ですよね?僕はブランド力とはあるカテゴリーにおける「信頼」だと勝手に解釈しています(笑)
ではあるカテゴリーで unaided awareness が強くて信頼されているブランドはなぜ信頼されているのか?僕は信頼を因数分解すればいいと思うんです。この作業は人に例えるとすごくわかりやすいです。例えば信頼できる人ってなんで信頼出来るかというと主に以下の要素を備えているとからだと思います:
- 嘘をつかない
- 約束を守る
- 実力がある (結果にこだわる)
- ブレない (言っている事とやっている事に一貫性がある)
- 誠実
上記は僕の勝手な『信頼出来る人』の要素ですが、あまりみなさんの意見と変わらないと思います。信頼出来るブランドも人とあまり変わらないと思っています。
面白いのが台湾に進出する多くの企業は結構上記と真逆の事をする事です (苦笑) 典型的なのは以下です:
- 誇大広告で効果を大げさに書く (半分嘘をつく)
- 自社ブランドの商品を使っていないインフルエンサーを使って宣伝する (不誠実)
- ディスカウントと見せかけて実はそんなにディスカウントしてない価格表示 (不誠実)
これを読んでドキッと思う方もいるかもしれません。上記のやり方は短期的には売れるかもしれませんが、僕は信頼に繋がるとは思えません。その結果 unaided awareness が蓄積されず、広告を出しても売れない悪循環に陥るのです。
台湾で信頼を得るには?
ではどうすれば信頼を得る事ができるでしょうか?僕は消費者の立場に立ってみるとわかりやすいのではないかなと思います。
例えばオンラインで売るよりもオフラインで売る方が消費者は商品を手に取れるので信頼につながりやすいと思いませんか? (決してオンラインで売る事を否定しているわけではないですよ!苦笑)
また、自社サイトで売るよりも有名な EC モールで売った方が最初は信頼を得られるかもしれません。その他、KOL やインフルエンサーよりも実際に商品やサービスを使用している人、特に自社スタッフが魅力を伝えた方が信頼されるでしょう。
台湾に進出したばかりの企業がまず必要なのは信頼だと僕は思っています。認知を高める広告はある一定の信頼を得てからでも全然遅くないと思います。今一度「自分達の広告は信頼に繋がっているか?」と考えてプロモーションを考えてみるのもいいのではないでしょうか?
以上 applemint 代表佐藤からでした。
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