こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
最近はもっぱら applemint lab の方でばかりコンテンツを書いていますが、たまにはこちらでも新規コンテンツを書こうと思います。今日お話ししたい内容は、台湾のマーケティングでよく AI って出てくるけど、AI に頼ってコンバージョンを取れるのは多分全体の68%ぐらいで、その他は難しいのでは?というお話しです。
ここでいう 68% とはどこかの政治家さんみたいにおぼろげに出て来た数字ではなく、統計学でいう正規分布の真ん中の人達に当たります(笑)要するにマジョリティという事です。
ちなみに、AI についてもっと知りたい!という方は少し古い本になりますが、『ダブルハーベスト――勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』あたりがわかりやすくていいと思います。
さて、 AI とは話がそれますが、実は世の中の偶然に思える様々な事象ってパターンに沿って起きてたりします。自動車事故はポアソン分布という計算式で発生確率を大体予測できます。その他、僕らがトイレットペーパーや食器洗いのスポンジなど、日常的に買う消耗品も購入頻度は負の二項分布を使えば割と正確に予測できると言われています。
要するに人の購入にはちゃんとパターンがあるという事です。
じゃーAI は何をするかというと、過去の様々な事象を学習して予測します。たとえば AさんとBさんとCさんが〇〇を〇〇で、◯時◯分に購入したから、同じ属性を持っているDさんに〇〇で◯時◯分にターゲティングすれば購入するのではないか?みたいな事を瞬時にして予測してくれます。
Facebook 広告の自動学習や Google 広告のスマートディスプレー広告はこういう感じで、購入データを基に次のターゲットを決め、そのターゲットに対してどんな広告を出せば購入に至るのか選んでくれます。何とも便利な世の中です。
ただ、僕がこのブログでお話をしたいのは、そんな AI を使ったコンバージョン予測やコンバージョン獲得に頼るやり方は一定数取れても伸び代に課題がありそうという事です。AI を決して否定するつもりはないのですが、僕自身の最近の購入履歴を振り返るとどうも AI の予測には限界がある気がしているからです。
ではその最近の僕の購買履歴とは何か?そこから見えるパターンとは何か?なぜ AI にコンバージョンを頼るのは限界があるのか?この辺書いていきますね。
僕の最近の購入履歴
最近僕は結構色んな物を買いました。僕は元々物を買うのはあまり好きではありません。理由は物が増えると視覚の中に感知する物が嫌でも増え、無意識でもそれらを見ると脳が認識して疲れるためです。
では、そんな買い物が好きじゃない僕が最近購入した物を書き出したいと思います。
- ecco の Gore-tex の靴
- Northface バルトロライトダウンジャケット
- Dyson V12
- ipad mini
- 靴(靴の種類の名前がわかりません….)
- Quicksilver の防水バッグパック
結構買いました。しかも割と高い物も含まれています。それぞれどういう経緯で買ったか説明ます。まず ecco の Gore-tex の靴は Youtuber の Takuzoooさんが紹介していて、ちょうど7年前に買った同じような Gore-tex の靴がダメになったので買いました。
Takuzooo さんを知ったきっかけはダウンジャケットを探していたためです。僕は5月に一時帰国でお客さんがいる北海道知床に行ってきたのですが、行く前に知床の5月の天気を調べると3-9度とかだったので、急遽ダウンジャケットを買う事にしました。
以前僕が持っていたダウンジャケットは13年前に買ったもので重くて、2年間国外に行けなかったので捨てました…
その時にダウンジャケットを探していて、Takuzoooさんの Youtube チャンネルに出会い、どうやら North Face の バルトロライトジャケットは高いけど、暖かくて数年使えそうということで買いました。
そのついでで、Takuzoooさんの他の動画を見ていたら、Takuzooo さんが紹介していた ecco の Gore-tex の靴がまさに僕が7年履いていたボロボロのやつをリプレース出来るとわかり、靴も買いました。
次に Dyson V12 は、僕が信頼するインスタのフォロワーさんから勧められて買いました。掃除は今までずっとルンバを使ってきたのですが、そのフォロワーさんとDM で会話する過程で、どうやら猫を飼っている人はルンバだけではダメなことに気づき、購入を決意しました。
Dyson を PR するつもりは微塵もありませんが、掃除が大嫌いな僕が掃除が好きになる程 V12 は最高だと思っています。特にペットを飼っている人におすすめしたいです。
次に、iPad mini に関しては、僕が普段サブスクで購読しているクーリエジャポン や Kindleの本、 Casa Brutus など色がついている雑誌を読むために買い、その他の購入品はお店で見て「あ、いい」と思って買いました。
さて、ではこの購買行動を AI に学習させたらどうなるのでしょうか? せいぜい「こいつは寒い所へ行くからダウンジャケットを買う」とか、「会社の代表者だから Dyson V12 という高い掃除機が買えるでしょ」とかそんな予測になる気がしています。
ただ、僕ぶっちゃけますけど給与は聞いたらびっくりするぐらい高くないです。所得税増やしたくないので ?
信頼を可視化できない AI
今回僕がリストアップした購入品の中で興味深いのが Dyson V12 です。これは僕が信頼するインスタのフォロワーさんに勧められて買ったのですが、それまで正直ルンバで十分と思ってました。
でも実はこのフォロワーさんは、過去に僕がおすすめした物を購入していて、僕の心の中では「この人は僕を信頼する人だから、僕もこの人が言う事なら信頼できる」という信頼関係が成り立っていて今回購入に至っています。
Facebook は頭がいいので、もしかしたら僕とこのフォロワーさんの一連の会話から、「佐藤は Dyson V12 を買う可能性が高いからこいつに広告を出せ!」と予測したかもしれません。ただしこれは Facebook が Whatsapp やインスタといったメッセージツールを買収していて、人々の会話を学習できるから出来る事です。
他のサービスが出来るとは到底思えません。(その結果、台湾では結局 Facebook 広告が一番効率が良いので皆 Facebook 広告を利用する…)
従って、他の購入やコンバージョンを助けてくれる AI サービスの予測は限界があると思っています。もしかしたら最大で全体の68% ぐらいの人に対しては、行動や購入履歴を基に購入を促進できるかもしれませんが、今回のように「信頼」が購入に繋がるパターンを AI が学習するのはかなり難しいと思っています。
そして現代はそんな「信頼」が購入の鍵になっています。西野亮廣氏は品質や技術に差がなくなったら人検索の時代が来ると話しています。要するに、品質や技術は差がないから、それらを基準に物を買うのではなく、誰から買うかが大事という時代です。
今回僕の Dyson の購入では本質的に結構同じ事が起きていて、僕は信用している人の言葉を聞いて購入に至っています。
AI の正しい使い方
じゃーAI はポンコツかというと、そういう極端な話ではなく、AI に購入やコンバージョンを丸投げするのではなく、あくまでアシストするぐらいの使い方がいいのではないかと僕は思っています。
『ダブルハーベスト――勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』ではAI に学習させるべきデータについて事例がいくつかありました。著者の方曰く、現代で取るべきなのは会議での会話や授業の様子といった生データで、住所や年齢などの個人情報ではありません。
例えば学習塾であれば、生徒の住所や年齢なんかよりも生徒が授業を受けている様子を AI に学習させるといいと書かれてあります。この動画を AI が学習すればどんなテーマの授業の時に生徒は興味を示し、どれくらいのタイミングで生徒は集中力を無くしたかわかります。
これらが分かれば学習塾のクラス改善につながり、生徒の満足度が上がって、後々のコンバージョン(入塾)に繋がるという事です。
AI 云々よりも森岡氏が指摘するマーケティングの本質を意識した方がいい
日本No.1 マーケターの呼び声も高い森岡毅氏は彼の本の中で、消費者の購入フローをものすごくわかりやすく書いています。一般に消費者の購入は以下の要素で決まると彼は話しています:
- 認知率
- 配荷率
- プレファレンス
まず、認知していないものに人は手を出しません。従って認知は大事です。理想は消費者が商品名やブランドを認知していて、尚且つそれが何かわかっている状態です。次に配荷率とは、グッズにアクセスできるか否かというお話です。いくら商品を認知しても買う場所がなければ意味がありません。最後がプレファレンスです。
プレファレンスとは色んな競合商品がある中で、自社商品が他よりも好まれる確率です。人によってはブランドイメージが大事だったり、価格が大事だったり、機能が大事だったりします。
僕は AI とかそういう話をする前に、まず自分達のブランドがターゲットにどれだけ認知されていて、そのターゲットは商品にアクセスできるかしっかりモニタリングする事が大事だと思っています。
また、ターゲットに対するプレファレンスを上げて、購入される確率を上げるのが大事だと思っています。以上、最後は AI の話というよりはマーケティングの話になってしまいました!
ではでわ
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