【超有料級】台湾における日本酒販売の失敗パターン

【超有料級】台湾における日本酒販売の失敗パターン

こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

今日は台湾における日本酒の販売戦略(失敗パターン)についてお話をしたいと思います。

なぜ失敗パターンを書きたいかと言うと、毎年実に多くの日本酒メーカーが台湾進出を目論み、実に多くの多くのメーカーが同じ失敗を繰り返そうとしているからです。

台湾向けの日本酒の輸出量が世界5位で、台湾で日本酒の人気が上がっています。だからと言って日本酒ならなんでも台湾で売れると思ったら痛い目に遭います。

台湾で失敗する日本の酒造メーカーは結論から言うと、広告やマーケティングに適切にお金をかけず失敗しています。

このブログでは誰も教えてくれない、台湾における日本酒のリアルな現状をお伝えしたいと思います。

安い日本酒か、超高級な日本酒しか売れない台湾

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結論から言うと、台湾で売れる日本酒は安い日本酒か、高級できちんと認知度がある日本酒です。

「中間ブランドの日本酒も台湾で売れてるぞ!」と反論したい方はいると思います。それはその通りで、中間価格でそこそこ売れている日本酒ももちろんあります。

ですが恐らく大部分の中間価格の日本酒メーカーは台湾で苦戦しています。

その理由は中間価格の日本酒メーカーも台湾で販売するとなると、高級な日本酒と同じような価格になるためです。これは関税が影響しています。関税について次の章でお話しします。

台湾ではお酒をオンラインで販売する事は法律で禁止されています。その結果、日本酒を台湾で売りたい場合、主に3つのプレーヤーをターゲットにします:

  1. 小売店(スーパーや酒屋)
  2. 輸入販売代理店
  3. レストラン

このうち、輸入販売代理店は結局レストラン(居酒屋含む)や小売店に卸すので、ターゲットは実質小売店とレストランです。

ただし新規参入者は、台湾のレストランをターゲットにするのが難しいです。理由は、売れない可能性が高いからです。レストランが好む日本酒は基本的に安い日本酒か、ブランド力があって高くてもオーダーされる日本酒です。

レストランは営業利益を少しでも確保するため、業務用の安い日本酒を買う傾向が強く、ついでに獺祭のように高くてもブランド力のある日本酒を買う傾向にあります。

また、中間価格の無名ブランドはいつまでも売れ残るリスクが高いので、レストランに避けられる傾向にあるという訳です。

一部の高級日本料理店とかは別ですよ…

その一方で高級スーパーなどの小売店は業務用の安い日本酒を販売する必要性はないため、まだチャンスがあります。

もしもレストランと小売店にそっぽを向かれたら、オンラインで消費者に直接売りたい所なのですが、台湾ではオンラインでのお酒の販売は禁止されているため、打つ手なしという訳です。

日本酒の関税問題

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前章で中間価格の日本酒は台湾に来ると、どうしても高級日本酒の価格になるとお伝えしました。

その理由は台湾における日本酒の関税です。

台湾における日本酒の関税は20%です。これはつまり、少し安めの中間価格の日本酒は台湾に来れば、関税のせいで嫌でも高価な日本酒になるという事です。

焼酎に関しては40%です。

また、残念な事に日本酒の関税は今後も劇的に下がる可能性は低いと思われます。以下は、2022年に台湾にある日系企業数百社で構成されている台北市工商会が、台湾政府に対して提出した白書(要望書)です。

その中に日本酒の関税引き下げを要望する事項が書かれてあります。この要望の右側を見ると、なんとこの要望が一番最初に提出されたのが2008年という事がわかります。

日本酒関税1312 in 【超有料級】台湾における日本酒販売の失敗パターン

この要望に対する商工会の評価が、C評価ではなくB評価の理由は、2020年に日本酒の関税が40%から20%に引き下げられたためです。

つまり12年かかってようやく日本酒だけ関税を引き下げてもらったという事です?

焼酎の関税引き下げはなんか絶望的になりますね…

以前台湾で日本酒の輸入販売を長年している人と対談する機会があったのですが、その方の話によると、日本政府は台湾がWTO に加盟したタイミングで日本のお酒の関税を交渉するチャンスがあったみたいなのですが、結果的にしなかったようです。

日本政府は、当時日本のお酒を台湾向けに販売するイメージがなかったのかもしれません。

日本酒や焼酎は長年この関税の問題もあってか、中間価格メーカーは台湾に進出しては撤退、進出しては撤退というサイクルを繰り返しているそうです。

もし日本酒に関してもっと知りたいという方は、僕が台湾で日本のお酒の販売代理を20年している方との対談動画があります。そちらをご覧ください(コメント欄で「内容が浅い」と書かれましたが…?)

大事なのは如何に自分達の酒は売れると思わせるか

最後に撤退した日本酒メーカーが常に軽視してきた事を一つ述べてこのブログを追えます。それはマーケティングです。

撤退した多くの日本酒メーカーは、「自分達の日本酒は美味しいから、飲んでくれさえすれば売れる。どこかで誰かが見てくれている。」と考えマーケティングを運に任せています。

しかし台湾は基本的に露出を買う文化で、 PR はほぼ存在しません。つまり頑張っていればメディアが取り上げてくれるような市場ではないという事です。

マーケティングときちんと向き合わなければ台湾での勝算はありません。まだ日本国内で認知度がそこまでないような日本酒メーカーは尚更です。

ちなみに台湾ではマーケティングでも特に、デジタルマーケティングに本気で向き合う覚悟が要ります。

これはポジショントークでもなんでもなく、台湾は新聞や雑誌はとっくの昔に衰退しており、人々が最も接触するメディアはデジタルだからです。

もし今回のブログをご覧になって applemint の台湾におけるプロモーションに興味を持った方は、是非お問い合わせください。

applemint はマーケティングのスペシャリストになるため、台湾における幅広い分野の調査を常に行っています。

残念ながら私たちは短期的にバズるような施策は基本的にご提案しません。私たちは地に足をついた、一見するとつまらなそうな長期的なご提案をします。数年の我慢が必要になります。

その代わり僕ら applemint にお願いを頂ければ全力でサポートします。日本酒という日本の素晴らしいコンテンツが台湾で広がる事を願っています。

applemintへのご相談やご連絡はこちらから!

Leo Sato 佐藤峻

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