こんにちは、台湾でウェブマーケティングのお手伝いをしているapplemintのnatsukiです!
皆さんは、台湾人の食への健康意識が、ここ数年で大きく変わってきていることをご存知ですか?
イギリスのマーケティング会社KANTARの調査によると、2022年の台湾における健康食品の消費者数は前年比で14%増加し、また台湾の大手デリバリー社foodpandaの発表では、健康的なメニューの注文量がコロナ前と比べて3割以上成長しています。台湾人の食に対する健康意識は年々高まってきています。
このような最新の台湾飲食市場の変化を理解し、いち早く適応することは、新メニューの開発や売上アップに不可欠です。
この記事では、台湾人の食に対する健康意識の変化と、その背景にある5つのトレンドを取り上げ、台湾での飲食業の成功への道を探ります。
この記事を通じて、飲食業の経営者や、健康食に関心を持つ方々にとって、台湾飲食市場への理解を深める参考になれば幸いです!
Contents
台湾人の食に対する健康意識の変遷
台湾では古くから漢方(中国語では「中藥」と呼ばれる)が親しまれており、生活のあらゆる場面で見ることができます。ナツメ、クコの実、リュウガンなど種類も実に多様です。
日本では「漢方」と聞くと、葛根湯などの漢方薬のイメージが強いと思いますが、台湾では、台湾スイーツの豆花や仙草、また火鍋や薬膳スープなど、あらゆる料理に、漢方の材料が使われています。
また、温かい飲み物や生姜などで体を温める「温補」という習慣も重要視されています。
そんな古来の漢方文化に加えて、近年の台湾では健康ブームに伴い、新たな食のトレンドが生まれてきています。
それが「ベジタリアンフード」、「高タンパク質製品」、「健康志向のスナック」、「睡眠サポート製品」、「地元農作物の活用」の5つのトレンドです。
以下では、好食課というマーケティング会社が、栄養士たちと共に2023年に作成したレポート『2023年の世界および台湾の飲食トレンド(《2023全球與台灣的飲食熱潮與趨勢》)』の調査結果をもとに、その中で紹介されている5つの食トレンドと、実例を紹介していきます!
2024年台湾の5つの食トレンド
① ベジタリアン市場の成長
台湾でベジタリアンは「素食(蔬食)」と呼ばれ、非常に身近な存在です。台湾内でのベジタリアン人口の比率は13%で、なんと世界2位にのぼります。
台湾にベジタリアンが多い一つの理由として、宗教との関係性が挙げられますが、近年はそれ以外にも、環境問題への意識やファッションの一部として、若者たちの間でもベジタリアンが流行しつつあります。
好食課というマーケティング会社が、台北で18歳以上の成人を対象に行った2022年のオンラインアンケート調査によると、コロナパンデミック期間に健康のためにベジタリアン食に切り替えた人は約20%にものぼりました。
これからもますます注目が集まるであろうベジタリアン食。台湾ベジタリアン市場のまとめとインバウンド対策については、以下の記事にもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
② 高タンパク質製品の人気
コロナ下でダイエットやフィットネスへの意識が高まると同時に、高タンパク質(中国語で「高蛋白質」)食品への関心も年々高まっています。
最近は、台湾のコンビニでも、高タンパク質を売りにしたメニューや製品を見かけることが増え、あらゆる製品に「蛋白」という文字が表示されています。
こちらは私のある日のコンビニランチですが、どちらも「蛋白」の記載があります。健康G肉弁当の方は鶏肉、豆腐などが入っていてタンパク質27.8gともりもりです。
台湾のSNS上でも、タンパク質の重要性が多く議論されており、Instagram上でハッシュタグ「#蛋白質」(タンパク質)を検索すると、2023年時点で22万件以上もの投稿があります。日本語の「#タンパク質」のタグは63.5万件ほどなので、人口比的には台湾の方が発信が多いことが分かります。
これからの台湾の飲食文化を考える上で「蛋白」は大事なキーワードとなるでしょう。
③ 健康志向のスナック・ドリンク
また、近年の健康ブームに伴いスナックやドリンクも健康を重視したものが増えてきています。こちらの写真は私がスーパーで購入した健康を意識した商品です。
左から順に、豆乳オーツミルク、新陳代謝を促進するイヌリン入り健康緑茶、25%減塩ポテトチップス、油非使用のフルーツチップスです。その他の健康志向スナック・ドリンクも含め、やはり人気があるようで品薄状態のものも多かったです。
具体的には、スナックだと天然素材や低カロリー、低糖、栄養補給、高タンパク質などを売りにした商品が人気を集めており、また、ドリンクでは無糖の緑茶、野菜スムージー、豆乳、オーツミルクなどもよく見かけます。
また、台湾はドライフルーツやナッツの種類もかなり多いです。スーパーの専用のコーナーも、お菓子コーナー並みに幅を取っています。
④ 睡眠サポート製品の需要
ストレス社会を生きる現代人にとって、質の高い睡眠が重要であるという認識が広まり、台湾でも、睡眠をサポートする食品やサプリメントの需要が高まっています。
台湾の中央健康保健署のデータによれば、2021年の睡眠関連の受診者数は計441万人で、平均で5人に1人が睡眠問題で医療機関を受診していることになります。また、2021年には台湾で年間10億5000万錠の睡眠薬が処方されました。
また、コロナ期間での睡眠障害への影響も見受けられます。台湾睡眠医学学会が発表した調査「2022年台湾COVID-19が国民の睡眠に与える影響調査(2022 年台灣COVID-19影響國人睡眠調查)」によると、20歳以上の国民1,068人を対象として、睡眠障害を抱える人の割合はコロナ流行前の42.9%から59.7%に上昇しました。
睡眠サプリメントは心身のリラックスを促しスムーズな睡眠を促進する効果があり、食品のカテゴリとして手軽に入手できることもあり、GABA、セサミンなどを始め、睡眠をサポートする成分への注目が高まっています。
こちらは私が台湾のセブンイレブンで見かけた、睡眠をサポートするドリンクです。紅棗、小麦、甘草、酸棗仁、GABAなどのリラックス効果のある成分が含まれています。
⑤ 地元産農作物の活用
最後に、近年台湾では、ローカルフードや地元産農産物を活用した食品も注目されています。ここ数年間で持続可能性、環境保護、無添加、ナチュラルフードなどのトレンドが広がったことが要因と考えられます。
2023年の6月に開催された台北国際食品展示会では、「持続性」をテーマとして、展示会場の一角に、嘉義館、台南館、台東館、花蓮館、雲林館、高雄館などのブースが設けられ、台湾の各地域の農産物や水産特産品を国際市場に向けてアピールする機会となりました。例えば、台南ブースでは、特産物であるサバヒー、ドライフルーツなどが紹介されました。
また、地元産農作物と他団体間のコラボの機会も生まれており、例えば、嘉義市のコーヒーショップ里響咖啡は、同じく嘉義で有名な林聰明魚頭鍋という飲食店とコラボして「抵嘉蛋里」というお菓子のギフトボックスの販売を始めました。嘉義市の魚フレーク入りのエッグロールとコーヒーという、斬新で新たな組み合わせとして、嘉義市のお土産の一つに追加されました。
なお、applemintでも、2022年1月に台北で「規格外野菜」と呼ばれる廃棄野菜を販売するイベントを開催しました。初めての試みということもあり改善点もありましたが、少しでも多くの方に廃棄野菜について知ってもらう機会になれて、有意義な試みだったと感じています。
以下の記事では、実際に花蓮の農家からお聞きした台湾の有機農家の苦悩や問題について詳しく紹介しています。フードロスや廃棄野菜等に興味がある方はぜひご覧ください!
いかがでしたでしょうか?台湾の食に対する健康意識の変化と、その背景にある5つのトレンドをご紹介しました。
日々変化するトレンドを理解し、それに適応することは、市場に新たに参入する経営者や既存の事業者にとって不可欠です。
また良い製品を生み出した次には、どのようにそれらを宣伝し、健康に関心のある人々の心を捉えるかといった、マーケティングの視点も重要になってきます。
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