こんにちは!台湾でデジタルマーケティングの会社 applemint の代表を務める佐藤(@slamdunk772) です!
今日は2024年現在の台湾のKOL/KOC/インフルエンサーマーケティングについてお話ししたいと思います。
知らない方のためにお伝えすると、僕は以前からインフルエンサーマーケティングに対して否定的な意見を持っています😅
一番の理由は、今まで企業が台湾のインフルエンサーに支払った金額分をきちんと回収できている企業をほとんど見たことがないためです。
インフルエンサーがプライベートで撮影した飲食店の動画をきっかけに来客数が増えるケースは多々ありますが、実際にインフルエンサーに高額な料金を支払い、その分の売上を回収したケースは近年非常に稀です。
もちろん、きちんと売上を回収できているケースもありますが、それはインフルエンサーが撮影した動画の質が高い場合です。
結論から言うと、僕は台湾人を起用したインフルエンサーやKOL施策に対して必ずしも否定的ではありませんが、PRをお願いするサービスや商品によってはあまり効果がないと考えています。
今日のこのブログでは、2024年10月現在の台湾におけるインフルエンサー/KOL/KOC施策について、裏表なくお話しできればと思います。
Contents
フォロワー数って関係あるっけ?
台湾に限らず日本もインフルエンサーは基本的にフォロワーの数によって変動します。フォロワー数が多いとその分金額が上がるのが普通です。
ただここで考えたいのが、「フォロワー数ってそもそもそんなに必要だっけ?」ということです。そもそも企業がインフルエンサーを起用したい根本的な理由はなんでしょうか?以下は僕の考えです:
- インフルエンサーはフォロワーがいっぱいいる
- フォロワーがいっぱいいるから多くの人に見られる
- 多くの人に見られるとそれが販売に繋がる
企業は結局、フォロワーが多い = 認知度が上がる = 売上が上がる、と考えている訳です。しかし、仮にフォロワーが多いインフルエンサーでも、実際には思ったより多くの人に見られなかった場合、どうなるでしょうか?
高額な費用をインフルエンサーに支払ったのに、売上に繋がらないという結果になります。これが台湾で顕著になったのは、新型コロナウイルスが流行し始める前のことです。
以前はインフルエンサーが売上に貢献しましたが、次第にPR投稿が溢れ、売上に繋がらなくなり、インフルエンサーマーケティングは次第に「一回して終わるもの」になりました。
もちろん、一部ではインフルエンサーが売上に貢献している事例もあるでしょう。
しかし、もし全員がインフルエンサーマーケティングに成功していたら、全ての企業が利益を上げているはずですが、現実はそうではありませんよね🙂
実際、僕の感覚では、8〜9割の企業はインフルエンサーを起用しても、売上アップを実感していないと思います。
ではどうすればいいのか?
大事なのは、インフルエンサーを起用することではなく、コンテンツが多くの人に見られ、企業の認知があがることだと僕は考えています。インフルエンサーはその手段の一つに過ぎません。
そこで、コンテンツマーケティングでは絶対の自信を持つ僕達 applemint では、2年前からショート動画を使って、如何に台湾人に視聴されるコンテンツを作れるか?という実験をしてきました。
applemint が行っている実験
applemint はかなり早い段階からコンテンツマーケティングに力を入れました。2017年から書いているブログはもう500本になりました。
僕が2019年に始めた日本語のYouTube チャンネルは、現在100本以上の動画をアップし、登録者は6,800人ほどです。6800人という数字は、大した数字ではありませんが、台湾にいる駐在員の方や台湾ビジネスに興味がある方は結構視聴されています。
しかし、中国語のYouTube チャンネルは開設はしていたものの、あまり力を入れてきませんでした。そこで、台湾のインフルエンサー高騰とショート動画のポテンシャルに目をつけ、2021年からショート動画の実験を始め、どんな動画が再生されるか大体理解してきました。
色々な実験を重ねた結果、最近僕らが制作したある動画が40万回の視聴回数を記録しました。これを書いている今も視聴回数はどんどん増えています。
「あれ、なんかこの動画の視聴回数多いぞ」と気づいた時の、僕のYouTube の登録者は800人前後で、その後1ヶ月で1500人を突破しました。
また、この動画がきっかけで面白い事が起きました。僕は近所によく行くマッサージ屋さんがあるのですが、ある日施術家の方から、「君YouTube やってるよね?」と言われました。
「あ、はい」と返事をすると、あのバズった動画の事を僕に話してくれました!😂
「40万回再生するってこういう事なんだ…」とその時に思いました。
何が言いたいかというと、今の時代、拡散力が強いのは動画で、動画で大事なのは、フォロワーより中身という事です。
フォロワーが多くなくても、”見られるコンテンツ”を作る事は可能です。
台湾人の情報収集の本音
2020年に台湾のブログサイト大手Pixnetが行った調査によると、ブログ記事を読んでいる読者が情報源として参考にしているデータをご紹介します。
このデータで情報源として KOL を参考にしているのは、ご少数な事がわかっています。また、たとえ KOL を参考にしているグルメやファッションのカテゴリーでも多くの人は紹介している”人”については「誰でもいい」と答えています。
僕はこれが動画でも同じではないかと思っており、KOLやインフルエンサーと相性がいいのは、ほんの一部で、それ以外はあまり重要ではないのではないかと考えています。
繰り返しになりますが、台湾人のKOLやインフルエンサーにPRをお願いするのはいいですが、大事なのは、その人たちのフォロワー数よりもその人達が如何に優れた動画を提供できるか否かだと思っています。
KOCやインフルエンサーの動画出演に対するリアルな金額
ここまで、KOL やKOC について、やや否定的な考えを述べましたが、彼ら/彼女達に何か依頼をするなら何がいいでしょうか?ズバリ、動画への出演です。
僕ら applemint では現在自分達のノウハウを使ってショート動画を企画し、ショート動画を制作しようと思っています。しかしここで一つの問題が起きます。それは動画の出演者です。いくらいい動画の企画を考えても、出演者がいなければ意味はありません…
そこで、僕達は KOC (フォロワー数が少ないインフルエンサー) に動画の出演を依頼することにしました。KOC は普段から顔を出しているので、顔を出すことに抵抗はありません。
また、KOC はフォロワーが少ないので、値段が安いです。しかし、値段が安いと思っていたKOC が実際に金額を尋ねるととんでもない金額である事がわかりました…😞
以下は、KOC の方々に動画に出演していただき、その動画を顧客のアカウントで発信した場合の金額です(動画の権利をもろもろ買い取った場合)
フォロワー1200人で25,000NTD (10万円) は驚きました…口が悪いのを覚悟で言うと、「ぶっ飛ばしてやろう」とさえ思いました😅
もちろん、動画には著作権や、その他肖像権もあるので、動画を”買い取る”場合の金額として妥当なのかもしれませんが、ショート動画を作るたびにこんな費用が発生していたら、利益は出ません。
そこで、僕らはその後数名のKOC と交渉し、著作権や肖像権はKOC に属すものの、こちらの企画通りに撮ってもらった動画の利用権や、広告の二次利用の権利はこちらにあるという形で進め、費用を抑えました(知り合いの人脈を使って直接 KOC に交渉できたのも大きかったです)
この実験の結果は、applemint lab (有料) ブログで後日公開します。
いずれにせよ、僕らが思う KOC/KOL の活用法は、ショート動画のノウハウがある人/企業が企画を担当し、KOC/KOL には企画に沿って出演だけお願いするやり方です。
〇〇を要求する台湾人インフルエンサーは避けた方がいい
ここまでざっくりと現在のKOC/KOLについてお話してきましたが、ここにたどり着くまでには本当に多くの苦労がありました😌 ここでは、おそらく話したいことの半分も話せていません。
そんな僕から最後に、今後台湾人インフルエンサー(KOC/KOL)を起用しようと考えている方に対して、注意点をお伝えします。
結論から言うと、「基本的にインフルエンサー本人の企画に沿って動画を作る」と言う人には細心の注意を払ってください。インフルエンサーと連絡を取っていると、たまに「拍攝會以自己的腳本以及風格進行拍攝跟剪輯(『撮影は自分の脚本およびスタイルで行い、編集も自分のやり方で進めます』)」と言う人に出くわします。
フォロワーが数十万人いる方なら問題ありませんが、数千人程度のインフルエンサーがこんなことを言っているのを見ると、「アホか」と思います。
フォロワーが少ないということは、動画や投稿の企画力がないということです。それなのに「自分の自由にさせろ」と言うのは、ただのわがままです。
こういう人にそのまま任せると、ほぼ必ず失敗します。フォロワーが多く、動画の視聴回数が多いインフルエンサーは動画の企画力があるので、任せてもいいと思いますが、それ以外は論外です。
いい動画の裏には、大抵きちんと企画ができるプロがいます。日本のYouTuberも、結果を出している人の裏には必ず動画を企画するチームがいます。
ショート動画も、必ず実績があり、広告ではなく自力である程度の再生回数を出したことがある会社に企画をお願いすることをお勧めします。
applemintはその点、台湾のインフルエンサーの裏表を理解しており、動画の企画力もあるので、ご興味のある方はいつでもご連絡ください。
以上、applemint代表の佐藤からでした!
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