みなさんこんにちは、台湾で applemint というデジタルマーケティングの会社の代表を務める佐藤 (@slamdunk772) です🙃
今日は、applemintに入社した新卒スタッフが半年以内に次々と辞めていったお話をしたいと思います。実際、applemintでは新卒として入社した4名のうち、3名が1年以内に退職し、残りの1名も約1.2年で辞めてしまいました。
正直、この話をすることで僕に得られるメリットはほとんどありません。むしろ、「applemintって大丈夫なの?」「ブラック企業なんじゃない?」「労働環境が問題なのでは?」と思われる可能性もあります。
それでも、この話をあえてする理由は、今後台湾に駐在し、リーダーとなる人の多くが、僕と同じように人材の問題に直面する可能性が高いからです。そして、僕の経験を先に知っておくことで、そういった方々が過度な期待をせずに、事前にさまざまなことを予測し、準備ができるのではないかと考えたからです。
繰り返しになりますが、こういった話は会社にネガティブな印象を与えるだけなので、通常は誰も話しません。それでも僕は、これから日本から台湾に来てリーダーシップを取ろうと考えている方々のために、このようなテーマをあえてブログで、約2時間かけて書いています。
これはリアルな話なので、AIに任せるのではなく、僕自身が真剣に書いています。
台湾での経営には、日本とは異なる文化や働き方、そして価値観が深く関わっています。この話が、これから台湾でビジネスを展開しようとしている方や、台湾に派遣される予定のある日本人の方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。
台湾の新卒は基本的にすぐに辞める
台湾の新卒は大体みなさん1年で辞めます。ある調査によると、台湾では新卒の2年以内の離職率は75%だそうです。なんならちょっと調べたら、40%は半年以内に辞める事がわかりました😅
なので、日本のように「新卒を採用してその人を育てる」みたいな考えはリスキーです。
新卒で入社してその後複数年間働いたという話を聞いたことがあるのは、僕の友人の彼女で、彼女はユニリーバーの儲備幹部(幹部育成)という超狭き門を潜って、その当時新卒ながら月60,000NTD の給与を得ていた子ぐらいです。
この子の待遇を日本の環境で例えると、新卒ながら月に50万円もらうような感じです。みなさんは出せますか?って話です。
台湾では通常新卒は30,000 – 40,000NTD の給与レンジになります。そして彼ら/彼女達の多くは実力や経験はなく、社会に出た時のとんでもない仕事のスピード感やプレッシャーを経験していないがゆえに、圧倒され、ちょっとでも友人が「うちは9-5時で楽勝」なんて話を聞くと、隣の芝生が青く見えて辞めます。
僕の経験上、台湾では人件費を抑えたいからといって新卒を雇うのはあまりお勧めしません。正直仕事は要領が悪いですし、知識もないので、教えることに時間をたくさん割いてしまい、おまけに1年ぐらいで辞めるので、トレーニングに対する費用対効果があまりに悪いためです。
もちろん、台湾の上場企業とかになれば福利厚生も待遇もよくて話は別なんだと思いますが、そうでもない日系企業が新卒を雇うのは個人的にお勧めしません…
彼女達が辞めた理由はなんだったのか?
台湾社会では、新卒の40%が半年以内に離職するという統計があります。そして、applemintで採用した新卒スタッフも、まさにその40%に該当してしまいました。では、彼女たちが辞めた理由は何だったのでしょうか?
台湾では、退職時に本音を言わず、「田舎に帰る」などの理由を口にする例がよくあると聞きます。しかし、彼女たちの場合、理由はシンプルでした。現実の仕事量やスピード、求められる質が、入社前に想像していたものと大きく異なっていたのです。
この問題は、特に中小企業やスタートアップで起きやすいと感じています。私自身、大企業で働いた経験はありませんが、スタートアップや中小企業はどうしても忙しい環境になりがちです。
こうした環境では、裁量権を持って仕事を進められるため、長期的に見れば成長につながることもあります。しかし、新卒スタッフにとっては、それが「成長の機会」として魅力的に映るとは限りません。特に、現代では「成長したい」と考える人材自体が少なくなっているようにも感じます。
実際、4ヶ月で退職した新卒スタッフの1人は、ストレスが原因で辞めました (面談の際に素直に語ってくれました)。そのストレスの多くは、自身の力量と、現実で求められる力量とのギャップから生まれたものだったと僕は推測しています。
彼女は入社前にブログを書いていた経験があると聞いていたため、私や共同創業者は彼女にコンテンツ制作を任せました。しかし、基礎的なスキルが不足しており、フィードバックを何度も行う必要がありました。一度ダメ出しをした際には、彼女が共同創業者に「そんなに私のブログは悪いですか?」と尋ねたこともあったそうです。
こうした話は他でも聞きます。先日、台湾でお世話になっているメディア『換日線』の元編集長と食事をした際、台湾大学やその他の有名大学でジャーナリズムを学んだ学生たちも、実際に現場に入るとほとんど使えないと言われていました。
彼女の会社でも、挫折が原因で多くの新卒スタッフが辞めてしまう状況は変わらないようです。これは、規模の大小に関係なく、多くの企業で共通する課題なのかもしれません。
内製化するよりも外注した方が早い
今回は新卒についてお話ししましたが、台湾では一般的に月給48,000NTD以下で30代未満の人材は、2年以内に辞める可能性が高いと考えるべきです。
もちろん、全員が2年以内に辞めるわけではありません!中には月給40,000NTDで4年間勤める方もいるでしょう。しかし、仮に月給40,000NTDの待遇を与えた場合、ボーナスや保険、退職金を含めると、実質50,000NTD以上のコストがかかります。これで2年程度で離職されるのであれば、コアサービスに直接関係しない業務(例:デジタルマーケティング)は外注した方が効率的だと断言できます。
具体例をご紹介します。
ある日系企業は台湾に進出して10年以上が経ちます。私たちがこの企業とお仕事を始めたのは約2年前ですが、実は2019年頃からお仕事の話は出ていました。
当時、この企業の総経理は「デジタル分野は自社で取り組むべき」と考えており、そのため私たちと一緒にお仕事をする機会はありませんでした。
その後、時が流れ、約2年前からお仕事をお手伝いさせていただくことになりました。その理由は、デジタル分野に対応できる人材が見つからなかったためです。
デジタルのノウハウを持たない日系企業が台湾で自社でデジタルを進めようとすると、経験者を採用する傾向があります。さらに、デジタルの経験に加えて日本語能力を求めるケースが多いのですが、台湾では日本語ができてデジタルの経験がある人材は非常に限られています。
この企業がデジタル人材を見つけられなかった期間を「無駄」とは言いませんが、時間は何よりも貴重なリソースです。もしその期間にデジタル施策を始めていたら、今とは違う結果が生まれていたのではないかと感じます。
同様に、別の企業ではデジタル人材を確保したものの、スタッフが1~1.5年で離職。その状況が2回続いたため、最終的に私たちにデジタル業務全般をご相談いただくことになりました。
私たちの手数料は決して安くはありませんが、場合によっては人材を1人採用するよりもコストを抑えられるケースがほとんどです…
ポジショントーク抜きで、リスクヘッジの観点からも外注を検討する価値があると考えています。
以上、applemint 代表佐藤からでした!
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