こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
『台湾進出成功のため~台湾にいる業者との付き合い方~前編』では、何をすれば台湾で日系企業のお手伝いをしている会社がモチベーションを無くすかというお話をしました。
後編の今回は僕らがついつい必要以上に頑張りたくなるお客さんの実例をご紹介したいと思います。
コミュニケーションや接し方一つで台湾にある業者の対応が変わり、それがパフォーマンスに影響します。今後台湾に進出したい方や、台湾向けに商品やサービスを販売したい方、台湾インバウンドに取り組みたい方は是非ご覧ください!
起業2年目で学んだ一流の付き合い方
僕が台湾で起業して2年目にすごく勉強になったあるお客さんの「パートナーとの付き合い方」についてお話しします。
僕は台湾で起業2年目に知り合いを通じてウェブサイトの依頼を受けました。その当時はお客さんがほとんどいなくて受注したのがすごい嬉しかったのを覚えています。
受注後、お客さんの社長さんから直々に夕ご飯に行こう!と誘いが来ました。会社を起業してから初めてのお客さんとの会食でした。心の中で、「お客さんだし、きちんと接待をしないと!でもお金が全然ない」という葛藤があったのを覚えています。
そんなこと考えていると、その社長から夕ご飯のレストランの住所が書かれたメールが来ました。当日、着いてみるとそこは高級中華のレストランでした。メニューを見ると一番安いメニューが600元 (2400円ほど) で当時貧乏だった僕は震えたのを覚えています。
迷っていると、社長が勝手に僕と僕のパートナーを含めた合計5人分のコースを頼みました。頼んだのは一人 3000-4000元 (12,000-15,000円ほど) のコースでした。あの時は相当困りました。(全部で6人いたので、合計9万円ほど…)
僕は一緒に会食に行ったパートナーにひそひそ話でクレジットカードをちゃんと持ってきたか聞きました (会社のクレジットカードは僕のパートナーが管理してます) しかしクレジットカードを持っていても払う日が後ろになるだけで現金があまりない事実は変わりません…
その後「大丈夫、ウェブサイトの案件が来たらこれぐらい大したことない」と言って払う決心をしました。
高級なコースを食べ終えて、いよいよ決済という時、向こうはすでに払い終えてました。僕は初めて相手が払った事に一切気付きませんでした。実は心の中で払いたくないとか抜きで、本当に全く気づきませんでした。
あと衝撃的だったのが、社長の一貫した僕らをもてなす態度でした。食事中社長がこっそりウェイターに僕らに先に料理やドリンクを出すよう指示していたのを僕は一回見ました。
彼らは僕らのお客さんなのに、社長さんは業者である僕らを最大限もてなしたのです。
食事の後に、僕らがお礼を言うと「いや、だってこれからお世話になるじゃん」って言われました。このお食事の後、僕らのやる気は相当上がりましたし、下手なことはできないという気持ちになりました。
お客さんの中には台湾に出張に来ると「うちらはお客なんだからあなた方が接待して当然でしょ」という態度の人がいます。別にそれはそれでいいですが、僕はこの社長さんからパートナーとの本当の付き合い方を学んだ気がします。
たった一言で変わったアクション
当たり前ですけど、人って信頼されると頑張りたくなりますよね?
applemint にはアニメグッズを売っているお客さんがいます。もうかれこれ3年ぐらい台湾でウェブ広告のお手伝いをさせてもらっています。アニメグッズは版権の都合上広告としてウェブに露出出来る素材が限られ、正直台湾での広告の難易度は高いです。
そんなクライアントが最近台湾でのポップアップストアに少し興味があり、つい先日あるアニメの展示会があったので、可能であれば視察をしてきてくれないかとお願いがありました。「できれば」なので、強制力はありません。
もしも台湾の会社の営業窓口がこの話を聞いたら、よほど真面目な人以外はスルーするでしょう。週末やお仕事の後にわざわざアニメの展示会に視察なんて超絶面倒です。
僕は行きました。会社の代表者だから行って当然と思う人もいるかもしれません。ただ、僕が行った理由は僕ら applemint がこのクライアントから信頼されていることを度々感じるからです。(後日、なんと僕だけでなくこのクライアントの担当をしているうちのスタッフが視察に行ったことがわかりました。すごく感謝です。)
このクライアントは数字が悪くても、僕らの提案を真摯に受け止め、色々やらせてもらっています。また、前月の定例時、責任者の方から「applemint さんは信頼しているので、割と自由にしてもらえればいいです。」と言われました。
こんな一言で僕らは必要以上に頑張っちゃうのです。それとは逆に「数字が悪い!どうしてくれるんだ!」「契約期間は後2ヶ月ですよね?」と脅すようなクライアントがいます。
本当にもったいないと思います。
経験上プレッシャーやストレスが原因でパフォーマンスが向上した事はあるので、言わんとしている事はわかります。しかし研究で失敗を叱るより能力向上を褒める方が効果的なのはわかっています。
僕は毎度クライアントに優しくしろと思っているのではなく、業者をきちんと尊重して、たまにたった一言信頼を感じられる言葉をかけたら大分行動が変わるのになーと思います。
主体性を殺さない
僕を含め、多くの台湾プロモーション関連の会社さんは、「〇〇してみたらどうですか?」と主体的に提案します。
大抵の業者さんは金儲け目的ではなく、本当にお客さんの事を思って提案します。もしも業者が金儲けではなく、純粋にお客さんに成果をもたらしたいとわかった場合、こういう時の提案はなるべく断らないのがいいと思います。なぜなら業者は提案してそのままやる事になったらその提案に対して責任感をより感じるようになるからです。
仮に業者が提案した企画があまりいい結果を出さなかったとします。信頼できる業者なら、顧客に言われずとも原因を追求するでしょう。少なくとも僕らはします。
なので僕は業者の主体性を殺さない事が頑張ってもらう鍵じゃないかって思っています。業者の主体性を殺さなければ結果的に業者は対価以上の仕事をし、お客さんは得します。
最後に ~良いお客さんになる~
僕は元マイクロソフトエバンジェリストの澤円さんのポッドキャストをたまに聞くのですが、この前「いいお客さんになる」というテーマでお話をしていました。
通常お金を払う側はつい、「自分はお金を払っているのだから、自分はお客さん。向こうが自分に合わせないといけない」というマインドになります。
澤円さんは全く違って、自分がお客である時、お客であるにも関わらずとにかく業者さんに合わせて、業者さんが仕事をしやすいように配慮しているそうです。
こうするといい業者さんはお客さんからリスペクトを感じて必要以上に頑張り、その姿を見るお客さん (澤円さん) も業者のいい仕事っぷりを見て、刺激を受けるとの事です。
もちろん、お客さんのいい対応を利用してサボったり騙す悪い業者もいますが、澤円さん曰く悪い業者に出会う確率はそんなに高くないそうです。
「いやいや、台湾は悪徳業者が多いよ」という声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか?多分探せば信頼できる業者はいます。みんな面倒くさがって探さないだけだと思います。
このブログで一番お伝えしたかったのは台湾の業者に仕事を依頼する方の発言や行動の目的は何かです。もしも業者を怒って目的が達成されるなら怒る事も必要でしょう。しかし台湾に進出する日本の企業の中には目的もなく信頼に欠ける言葉や行動を取る人があまりに多い気がします。
相手を信頼する事が一番難しくて一番簡単な台湾で成功する方法だなと思う今日この頃です。
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