applemint 代表佐藤の月間インプット (2022年1月前編) 音楽の流行からわかる人々の生活と軽視される抽象的概念

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こんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

新年早々まだ日本のクライアントのエンジンがかからないうちに、うちのスタッフに DJ 教室を開きました。

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DJ を学ぶスタッフ

DJ ってみなさん何をしているかわからないと思いますが、彼らの主な仕事は曲と曲を繋げるだけです。

DJ は曲を繋げる時、基本的には一つの音楽ともう一つの音楽の速さを同じにして繋げます。そのためには音楽の速さを理解する必要があります。最近その音楽の速さがどんどん速くなっています。

今日のこのブログではまず人々の生活が音楽の速さにどう影響しているかというお話をします。次に、今急速に広がる、抽象的な言葉の消失と今後言葉はどう変化するのかというお話をします。

現代は何かと具体的な言葉ばかりが求められます。例えばウェブマーケティングのバナーも具体的な商品の訴求を書く方が売れるので皆具体的なメッセージばかり使います。バナーを作る広告代理店側も具体的な訴求を考える方が楽なので文句を言いません。

一方で apple がずっと前に打ち出した「Think different」のような抽象的な広告メッセージはどんどん消えてます。しかし長期的な目線で見た時、抽象的なメッセージの方が頭に残ったりします。

今日のブログでは具体的なメッセージばかりが溢れるとどうなるかというお話と今後のメッセージの展望について書きたいと思います。

音楽の流行と人々の生活はシンクする

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冒頭で音楽にはスピードがあるというお話をしました。音楽のスピードは BPM (beats per minute) として表されます。BPM は数字が高い方が早く、数字が低ければ遅い曲になります。例えばレゲェは BPM が70 – 80ほどです。それに対して今流行りの EDM と呼ばれる音楽は BPM が120 – 130 あります。

Trap という HipHop のジャンルの一つも BPM が140-150あって、こちらも流行っています。

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Trap は人によっては BPM が70-80という人もいます(BPM は場合によって半分に割れます)

いずれにせよ、音楽は早くなっていると思いますし、今後もその流れは暫く続くと思っています。

ちなみに、人の心臓の速さは通常時は大体 BPM 70-100ぐらいで、運動をすると120-140ぐらいになります。『運動する時におすすめの音楽』を聞いてみると BPM が120-140ぐらいの曲が多いです。理由は心臓の速さとマッチするためです。

短編動画の流行りと倍速視聴

ではなぜ今速い音楽が流行っているのか?僕は音楽に限らず動画も速いのが流行っていると思っています。

例えば現在は TikTok のような短編動画が流行っています。Tiktok で流行るような動画は 5秒に1回ぐらいシーンが切り変わる3-5分ほどの動画です。また、Youtube の動画は倍速で見る事が流行っています。

音楽が早くなっている事と動画を倍速で視聴する事がリンクしています。これは偶然でしょうか?僕はモバイルとスマートフォンの誕生により、人々の忍耐が失われているのが原因だと考えます。

スマートフォンの誕生以降、モバイル社会になり人々が仕入れる情報量は以前の何倍にもなりました。僕らは莫大な情報を処理することに追われ、膨大な情報をさっさと処理するために音楽のスピードや動画を速く短くしているのだと思っています。

Next Action

人々が情報に追われているなら、人々がリラックスしたいカフェやバーでは EDM や早い音楽を避け、BPMが80-100ぐらいの音楽が適切だと思います。逆にみなさんが大多数の人を盛り上げたい場合は、BPM は早めの音楽がいいでしょう。

また、僕は自身の Youtube 動画を編集する時、世の中のトレンドに合わせて実は動画の速度を5%早くしています。あと、人々はどんどん飽きっぽくなっているのでシーンをこまめに切り替えることも意識してます。

抽象的メッセージの消失と具体性の強調

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人々の消化する情報が膨大になり、情報を早く消化するために具体的なメッセージがより好まれてます。なぜなら具体的なメッセージの方が抽象的なメッセージよりわかるのに時間がかからないからです。『なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか』の著者と『「具体 抽象」トレーニング』という本の著書の方が偶然にも同じような事を言ってます。

後者の方はネットや SNSの世界では断片的な情報が増え、人間の抽象化能力が低下すると訴えています。これはものすごくもったいないことです。

知識や情報を簡単に手に入れる事ができなかった昔は知識力 = 知的能力でした。 しかし現在はちょっとググればすぐに知識や情報は出てきます。しかし知識量で人間は AI に勝てません。

人間が AI に勝てるのは抽象化する能力です。それを僕らが失っているということです。

具体と抽象ってなに?

ここで先ほどご紹介した『「具体 抽象」トレーニング』という本から具体と抽象について簡単に抜粋したいと思います。

具体

・個別
・特殊
・五感で感じられる実体
・個々の属性

抽象
  • 集合
  • 一般的
  • 五感で感じられない概念
  • 二者関係以上の構造

例えば僕がどこかのビルに行って「なんか知らないけど怖い」と感じればそれは抽象的です。心が怖いと感じていて、5感が何か感じているわけではありません。一方で「ビルの中が臭い」と感じればそれは 5感で感じられる具体性の高い表現です。

頭に残る抽象的なメッセージと頭に残らない具体的なメッセージ

人の心に残るメッセージは抽象的なメッセージが結構多いです。「Just Do it」「Think different」なんて日本語に訳すと、「とにかくやれ」「違う考えをしろ」みたいになります。とても抽象的なメッセージです。

Nike の 「Just Do it」というメッセージなんて、そこだけを聞くと「何をやればいいの?」と思ってしまいます。

逆に、「保湿力抜群、アンチエイジング!」なんてメッセージはとても具体的でわかりやすいのに、どの会社が言ったのか思い出せません。

抽象的なメッセージが頭に残るのは、抽象的なメッセージは僕らに「考える隙間」を与えているからです。「Think different」というメッセージを見て、僕らはその言葉のメッセージを考えようとします。同様に抽象的なアートを見ると、僕らはアーティストがその作品を描いた背景や心境なんかを考えて、想像を巡らせアートを楽しみます。

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村上隆さんや KAWSといったアーティストの作品が現在とても人気なのは大衆にわかりやすいためです。しかも人々の心に残るから彼らはすごいです。

抽象化する能力が今求められている

具体化したメッセージやコンバージョンが取れる具体性の強いメッセージは AI が学習して、今後いくらでもこうしたメッセージは量産できるでしょう。しかしこうしたメッセージは誰が発信したか区別がつかず、長期的にはブランドのためにならないと考えています。

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だからと言って考える余地を与えないぐらいわからない抽象的なメッセージを作るアホな広告代理店もいます。

デジタル広告が効果を測定出来るものだから僕らはコンバージョンが取れるメッセージばかり量産しますが、今僕らに求められているものは AI ができない人々に考える余地を与えるようなわかりやすくて抽象的なメッセージではないでしょうか?

以上 applemint 代表佐藤からでした。

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