こんにちは、applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です!台湾でデジタルマーケティングの会社の代表をしてます。
以前うちに在籍していたスタッフが書いた以下の「Facebook 広告バナーのマニュアル」のブログですが、わかりにくいという厳しいお言葉をいただきました。
読み直すと、確かにわかりにくい点が多々ありました。会社のトレーニングの質に問題があったことは明らかです。また、ブログの内容がわかりにくいという事は、僕のチェックが甘く、ブログ執筆のトレーニングが不足しているという事です。
ブログのレビューはエネルギーを使うので、チェックが甘くなっていたことは否めません….
そこでひとまずこのブログでは上記の分かりづらかった、台湾ウェブ広告バナーマニュアルを、私自らアップデートして、分かりやすくお伝えします。
台湾でウェブ広告を作りたいと考えている方は是非参考にしてみてください。
読み時間:8分 (長め)
Contents
Step1. 顧客理解:目的と強みを理解する
早速始めます。このブログでは話を分かりやすくするため、私が毎週通うLouisa Coffee 用にウェブ広告バナーを作るという前提で話を進めます。
Louisa Coffee を知らない方のために簡単に Louisa Coffee をご紹介すると、Louisa Coffee は台湾で 489店舗を展開するチェーンカフェです。
今回のブログでは、applemint が Louisa Coffee からウェブ広告を使って『店舗への集客をUPさせたい』という依頼が来たことにします。
まず、最初にしなければいけないのは、『目的を絶対に忘れない』『目的を常に覚えておく』ということです。これが最初のステップです。目的が変わると訴求が変わります。後ほどこの意味がわかります。今回のウェブ広告の目的は『店舗への集客UP』です。
次に、 Louisa Coffee の強みを殴り書きします。出来れば大きな紙に書き出すことをお勧めします。
心理学の応用で、アイデアを出したい時は、大きな紙に書き出すと空白を埋めようという心理が働き多くのアイデアが出るそうです。逆に小さな紙に書き出すと、創造性が制限され、アイデアが出にくいと言われています。
また、コンピューターを使って殴り書きをするのはオススメしません。必ず真っ新な紙に書いてください。apple も新商品のアイデアやスケッチは必ず紙からスタートすると、apple の元プロダクトデザイン責任者の Jony Ive 氏が話していました。
インターン生はすぐにパソコンを開いて作業を始めようとしますが紙に書くことを勧めています。一応アドバイスしますが、聞かない子は諦めてます(苦笑)
ただし現在なら ChatGPT があるので、いきなり ChatGPT にヒアリングをするのもありっちゃありです…
話を戻します。Louisa Coffee の強み/利点を書き出すと言いましたが、どうすれば Louisa Coffee の強みがわかるでしょうか?
それは、Louisa Coffee を利用しないと分かりません。つまり、顧客の強みを理解するには、まずは顧客のサービス/商品を使わないとわからないということです。
残念ながら多くの台湾にいる広告代理店勤務者は、顧客を理解せずにウェブバナーを作ろうとします。何故なら顧客を理解するのは時間がかかって面倒だからです。
なのでもしも広告代理店にお勤めの方がこれを見ていたら、まずは顧客の商品やサービスを利用してみてください!(手の届く価格であれば)
ちなみに、僕が毎週 Louisa Coffee に通って感じる Louisa Coffee の強みは以下です:
- 自宅から徒歩5分圏内
- 電源が必ずある
- 飲み物が安い
- コーヒーだけじゃなくてお茶も割とある
- 満席ということがあまりない
- 椅子が意外によくて長時間作業出来る
- 暖かい(笑)
- ふらっと寄って小1-2時間会議が可能
店舗数が多いので、どこにいても近くにあります。また、電源に困りません。しかも椅子が硬い木製の椅子ではないので、長時間座れます。おまけに、飲み物が安いので、気軽に入りやすいです。
以上、顧客の強みを書き出すのが最初のステップです。
- 『まとめ』Step 1:顧客理解
-
・バナーの目的を必ず覚えておく
・顧客を理解する。理解するためにはサービスや商品を利用する
・顧客のサービスの強みを紙に書き出す
Step2. ターゲットを2種類に絞る
次に、誰に広告を出すか決めます。ちまたでは、ターゲティングと呼びます。ターゲティングを行う理由は効率よく目的を達成するためです。『ターゲティング』は難しく考えず、シンプルに以下の2種類に分けてみてください:
- 顧客の商品やサービスを必要としている人
- 今は顧客の商品やサービスを必要としてないけど、広告を見れば必要と感じる可能性がある人
ターゲットについては以下の動画でもう少し詳しく解説してます。デジタルマーケティングの基礎を解説してます。
自分で言うのもあれですが、いい動画なので、台湾でデジタルマーケを考えている人には見て欲しいです。
では、Louisa Coffee の場合はどうでしょう?Louisa Coffee はカフェです。つまり、Louisa Coffee のターゲットはカフェを必要としている人と、今はカフェを必要としてないけれどカフェの広告を見たら、カフェに行きたくなる人です。
実は多くの企業はサービスを必要としていない人へ広告を出そうとします。そっちの方がターゲットの母数が大きいからです。
例えばラーメンに興味がない人に、ラーメンを食べて!とアピールしているという事です。でも僕の考えは、「まずラーメンが欲しい人を確実に獲りましょう」です。
これが Step2です。広告を出すべきターゲットが2種類いるということを頭に入れます。
- 『まとめ』Step.2:ターゲットを2種類に分ける
-
- サービス/商品が必要な人
- サービスや商品を必要としていない人
Step3. サービスを必要としている人の分類と集中 (強みとニーズのリンク)
まずはサービスを必要としている人を狙うべきとお話をしました。Louisa Coffeeなら、まずはカフェに行く必要がある人を狙うべきです。では、カフェにいく必要がある人はなぜ、カフェにいく必要があるのでしょうか?次のステップはサービスや商品が必要な理由を書き出します。
以下は僕が思う、消費者がカフェに行く必要がある理由です:
- コーヒーが飲みたい
- カフェでリラックスしたい
- カフェで作業したい
- カフェでおしゃべりをしたい
- その他
つまり、カフェにいく必要がある人は大体 4種類の人に分かれるという事です。次に考えないといけないのは、Louisa Coffee はどの種類の人 (ターゲット) に広告を出すべきかです。
ターゲットを絞らない広告は誰にも響かない非効率的な広告になります。カフェでおしゃべりをしたい人に「静かで作業がしやすいカフェ!」とアピールしても効きません。
ここで、目的を思い出します。今回のウェブバナーの目的は店舗集客です。つまり、上記のどの種類の人に狙いを絞れば店舗に効率よく集客できるか考えるのです。ではどうやって選ぶか?それは、Louisa Coffee の強みを活かせる人に狙いを絞るのです。
この作業を僕は強みとニーズのリンクなんて呼んでます。
自社の強みが活かせるターゲットを確実に獲得したいです。
ちなみに毎週 Louisa Coffee に通う常連の僕は、 Louisa は「カフェで作業したい人」を狙うべきだと思っています。通常、誰を狙うべきかはサービスを利用したり、既存顧客を観察することで見えます。
次の章で、何故僕は Louisa Coffee は「カフェで作業をする人」を狙うべきなのかお話しします。
- 『まとめ』Step.3:強みとニーズのリンク
-
・サービスが必要なターゲットは、何故必要なのか理由を書く
・必要な理由毎にターゲットを更に細分化する
Step4. 強みとニーズのリンク、そして Preference
4種類のカフェを必要としているターゲットの内、「カフェで作業をしたい」と思っているターゲットに広告を出すと決めました。次に考えるのは、そのターゲットが何を商品に何を求めているかです。
今回のケースだと、「カフェで作業したい人」はカフェに何を求めているのか考えます。ターゲットがサービスに求めていることを僕は Preference (ニーズ/好み)と呼んでいます。(マーケターの森岡毅氏の考えを応用してます)
仮にみなさんがカフェで作業をすることになったら、カフェに何を求めますか?以下は僕がカフェで作業する時に求める Preference (ニーズ/好み) を、優先順位が高い順に書いたものです:
- 電源の有無
- ネットの有無(台湾の場合はほぼどこもある)
- 長時間座れるか否か
- 家から近いか
- うるさすぎないか(程よいうるささか)
これを見て何か気づきませんか?
Step1 で書いた Louisa Coffee の強みと、カフェで作業をする人が求めるニーズがマッチしているんです!むしろ、Louisa Coffee の強みがこんなに活かせるターゲットは「カフェで作業をしたい人」以外あるか?と思うほどです。
だから僕は Louisa Coffee はカフェで作業をする人を狙ったほうがいいと思うのです。
Louisa Coffee に何回も通ったことで Louisa の強みが見えました。
逆に狙っちゃダメなのはコーヒーを求めているターゲットです。カフェにコーヒーを飲みに行く人は、「コーヒーの質」を求めている可能性があるからです。 残念ながら Louisa Coffee は高品質のコーヒーを売りにしている会社ではありません。 (もしもそうだったらすみません!)
なので、「うちいいコーヒーあります!」って広告は注意する必要がると思っています。
- 『まとめ』Step.4:ターゲティングと Preference
-
・細分化したターゲットの中で、誰にコミュニケーションをするか決めたら、そのターゲットの要求 (好み) を整理する
・好みに優先順位をつける
ちなみに「カフェで作業をされるとLouisa Coffee の回転率が悪くなって、業績に悪化するのでは?」と思う人がいます。僕の答えは、「恐らく Louisa Coffee の経営陣はそんな事とっくに知っていて、むしろ作業しやすいカフェを目指しているのでは?」です。
そうでないと、あんなに店内に電源を設置しません。回転率が悪くても儲かるようなビジネスモデルにしているという事です。
Step5. ようやく制作のスタートライン
ここまでのステップで、「カフェで作業をする人」に広告をコミュニケーションすることが決まりました。次に「何を」伝えるか決めます。
実はもう答えは出ています。上記で述べた Preference (ニーズ/好み) を優先順位の高い順にコミュニケーションするのです。
- 電源の有無→電源あるよ
- ネットの有無(台湾の場合はほぼどこもある)→ネットあるよ
- 長時間座れるか否か→長時間座れるよ
- 家から近いか→どこにでもあるよ
- うるさすぎないか(程よいうるささか)→作業しやすい感じだよ
ウェブ広告で面白いのは、実際に広告を配信してみたら、優先順位が低いと思っていた訴求をしたバナーの方が効率がいいという事態が起きます。上記で挙げた優先順位はあくまで私の仮説であり、仮説はどんどんテストする必要があります。
よくわからない訴求が当たるかもしれないのがウェブ広告の怖さでもあり、楽しさでもあります
バナー制作のコツはコピーライティングから
訴求が決まると、多くの人は写真素材やグラフィックから探そうとします。(うちに在籍していた元スタッフもそうしてました….苦笑)僕はコピーライティングからします。というか今後はスタッフにコピーライティングからさせます。
歌に例えると分かりやすいのですが、歌詞や歌のタイトルが決まる前にCD のジャケット写真作りませんよね?通常 CDのジャケットは CDのタイトルや歌詞と関連しています。
僕はコピーライティングをする時、必ずシンプルなメッセージを心がけてます。現在のウェブ広告はモバイルの配信比率が6-8割あり、モバイルの狭い広告スペースにごちゃごちゃテキストがあっても見られません。
以下の写真をご覧ください。パッと見た時に、どっちの広告の方が印象に残るかというお話です。恐らく覚えているのは右側です。
話を戻します。今回 Louisa Coffee の強みが一言でが伝わるようなキャッチをいくつか考えました:
- 電源に困らないカフェ
- 探さなくても必ずあります (電源)
- 電源あります
素材探しのコツ
コピーライティングを終えたら、素材 (イメージ画像)を探します。
バナーの画像素材は Shutterstock か Depositphotos か Unsplash かその他のサイトで探します。画像を探す時のポイントは、どんな写真を使ったら広告のメッセージが伝わるかです。キャッチコピーと一緒に表示されると、メッセージが際立つのが理想です。
今回の例だと、「電源がある」ってメッセージを瞬時に伝えられる素材を探しました。結果的に今回は電源 (コンセント) の写真をピックしました。
出来上がり
次に電源の写真を DL して、キャッチコピーを入れて、簡単に作ってみます。
Louisa Coffee は認知度が高いので、ブランドロゴを入れれば、コンセントの写真だけ見せられても、写真を「カフェのコンセント」とユーザーが想起できると想定しました。(ロゴはネットから適当に拾いました)
これを見て、元々スタバで作業をしようと考えていた人や、その他のカフェで作業をしようとしていた人を取り込めれば大成功です。
総結
いかがですか?
もしも「電源あるよ」訴求がうまくいかないようなら、次は「長時間座れるよ」訴求を試してみるといいです。
「長時間座れるよ」訴求のバナーを数パターン試し、バナーがダメなのか、訴求ポイントがダメなのか見極めます。Facebook 広告だとオーディエンスとバナーの相性も判断します。
上記のバナーはデザインと言えるほどのデザインをしていないのに、なんかしっくりきませんか?バナーで大事なのはかっこよさや緻密なデザイン力ではありません。「誰に」「何を」伝えるかです。
上記のバナーを作るのに Photoshop で費やした時間は 3枚で 30分程度ですが、制作前の誰に何をコミュニケーションするかには1時間以上かけてます。
兵法では、戦争は始まる前に勝敗が決まっているなんていいますが、バナーも一緒です。バナーがどんな効果を発揮するかは大抵制作する前に決まってます。
ちなみに台湾にある多くの日系広告代理店では、何の計画もなくサービスや商品のメリットを伝えたバナーを大量に作ろうとします。化粧品なら「保湿」「all in one」「日本No.1」をろくに商品を理解せずに訴求する会社が本当に多いです。
また、よく見かけるのが素人風の手抜きバナーです。iPhone で撮ったそこらへんにあるような写真を使っています。こういったバナーはたまに効果がよく、マグレで効果が出ると、「素人風のバナーがいい」と結論づけ、その後も手抜きが続きます。
また、台湾にある一部の日系広告代理店では、バナーを作る手順がきちんと言語化されておらず、バナーの良し悪しが担当者によって変わる自体が起きています。
ここでは省略しましたが、applemint ではターゲットの Preference を調べる際、実際に商品を使うのはもちろんの事、様々なツールを使います。Ahrefs を使って、競合のリンク参照元から消費者が欲している訴求を探ることもしています。
そのほか、applemint ではサービス提供側の強みを訴求するのではなく、ユーザーの悩みを描写するパターンのバナーの制作も行います。弊社に以前在籍していたスタッフはこのやり方を一部踏襲しています。
弊社のやり方が絶対正しいわけではなく、まだまだ改善の余地はたくさんあります。少なくとも applemint ではバナー制作をきちんと言語化し、どのスタッフが構成しても効果が出る質の高いバナーの制作を行なっています。
もしも applemint のバナー制作に興味がありましたら、いつでもコチラからご連絡ください。ウェブ広告においてバナーは鍵です。
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