こんにちは、台湾で applemint というデジタルマーケティングの会社の代表を務める佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は台湾に進出した日系の DtoC企業 (通販企業) の越境EC、及び現地販売についての現状をお話ししたいと思います?
結論から言うと、台湾でうまく行っている日系 Dtoc企業はほぼいません。では、DtoC企業は台湾でうまくいかないのか?と言うとそれは別問題だと僕は考えます。
台湾向けの越境ECや台湾進出をお考えのDtoC (通販) の方は、今からお話をする3つの点にご注意すればまだ勝算はあると思っています。信じるか信じないかは読者の方次第です?
残念ながら、台湾進出を支援する業者の多くは、日系 DtoC企業が台湾に進出すれば収益化できるので、真実を中々話してくれません。
しかもDtoCの企業は、多額のデジタル広告を投下する事で有名なので、それを狙う広告代理店や進出支援企業はごまんといます。
僕も同業者なのでその気持ちはわかります? ただ、台湾進出支援企業の話に乗っかって、台湾に進出した DtoC企業の現状があまりにも悪いので、このブログを書く事にしました。
少し長くなりますが、台湾進出を考えている DtoC 企業には必ず役に立つと思っています。
Contents
2023年越境ECの現状及びDtoC企業の現状
まずはサクッと台湾に越境ECで進出した企業や、台湾現地に進出したDtoC (通販) 企業の現状を書きます。
冒頭でもお伝えしたように、皆さん中々苦戦しています。 CPA は単価の3-4倍は当たり前で、定期への引き上げもあまりうまくいっていません。
先日僕は台湾に進出した某通販企業の担当者と話をしましたが、その方は、「CPA が予想以上に高く、黒字の道筋が見えない」とお話をしていました。
単品通販の場合は、広告のクリック率が年々下がっていて、Facebook 広告ではクリック率が1%を切る事もザラにあります。
多くの通販企業は定期への引き上げの優先順位を下げ、今では一回の購入単価を上げるべく、定期 + まとめ買いというハイブリッドなオファーで勝負をしていたりします。
では、このような状況でDtoC企業は何をすればいいでしょうか?これから僕が考える3つのポイントをお話ししたいと思います。
ポイント1. 定期からの脱却と返品文化への適応
2023年3月時点の台湾で、化粧品や健康食品を定期的に購入する習慣は普及していません。
もちろん一部例外はあります。例えばある種のサプリメントを継続的に購入する方はいますし、お気に入りのコスメを決まった頻度で購入する人もいます。
それなりに上手くいっている会社もあれば、Netflix や Disney + といったサブスク加入者もかなりいます。
だからと言って、「定期」という習慣が大衆に根付いているかと言うと、僕は懐疑的です。実際、DtoC企業が台湾向けの LP にどんなに定期購入の説明を書いても、自動で商品が送られ、自動でクレジットカードが引き落とされる事に対するクレームは来ます。
つまり、台湾の方は定期的に同じ商品を購入する習慣はあっても、決まった頻度で自動的に引き落とされる事に対しては、抵抗があるとも言えるでしょう。
定期が通用しない台湾ではDtoC企業は戦略の変更を迫られます。実際、現地法人がある台湾通販企業は以下のような変更を行なっています:
- 一回の購入の単価を上げる(まとめ買い)
- ローカルの薬局や日系薬局への出店(オフライン)
残念ながら台湾向け越境 DtoC は#2の対策を取れません。台湾向け越境ECの場合、まとめ買いは配送費用がかさみますし、返品された時のリスクが怖いです。
返品文化の理解
台湾人の多くは ECサイトで購入した商品の箱や段ボールを1週間キープする習慣があります。これは返品に備えるためです。
台湾における返品リスクは企業が考える以上に高いです。例えば台湾向け越境ECになると、通常返品される商品は台湾国内で破棄されます。
こうした破棄される商品に対して YourTradeという会社は、台湾現地で返品される商品を引き取って再販する事で企業に収益を分配する仕組みを作っています。
ただし、商品は再販時にはディスカウントされるので、残念ながら企業の利益向上にはつながりません。YourTrade のサービスはあくまで損失を減らすサービスと捉えるべきでしょう。
台湾向けに越境ECをする日本企業は、台湾人が返品するマインドを理解し、如何に返品されないようにする仕組みを考える必要があります。
applemint のお客さんには返品対応が抜群にうまい会社がいます。
ポイント2. CPA という概念の限界を知る
通販企業さんにとって大事な概念の一つに CPA があります。LTV を計算した上で、CPA を注視すれば、今後の利益を予測でできます。
ただし、CPA にこだわり、CVが取れるメディアに広告を集中させた結果、それらのメディアの数字が異常なほど悪くなった通販企業は後を絶ちません。
逆に CPA にこだわらずに上手くいった事例はいくつかあります。
僕ら applemint が手がける通販企業 (越境EC) のお客様の中に、一度 CPA という概念を忘れて、記事広告を台湾メディアで行った企業がいます。
台湾では雑誌やニュース記事を見る人は限られているせいか、通常記事広告の CPA は高いです。
この時も結果は予想通り、記事広告からの CV はあまりなく、CPA はよくありませんでした。
しかしその後、あるユーザーからこの企業が運営する Facebook の投稿にコメントが書かれました。
コメントには、「この企業の商品が本当に日本から届くのか?詐欺サイトではないのか?」という内容が書かれてありました。
その後別のユーザーが、本当に届く事を伝え、以前掲載した記事広告の URL を添付しました。記事広告が掲載された媒体が割と有名で信頼できる媒体だったので、それが商品の信頼に間接的に作用したというわけです。
また、DtoCではありませんが、サブスクサービスを展開する Netflix はよく地下鉄広告を行っています。
世界一流企業の Netflix の事ですから、当然 LTV も計算し、CPA も頭に入っているでしょう。
そんな彼らが費用対効果を可視化できない地下鉄広告をしている事には、必ず理由があると考えるべきでしょう。
僕ら applemint では、CPA やダイレクトマーケティングで重要な数字を見ながら、こうした過去の事例を基に、CPA に捉われない提案をおこなっています。
ポイント3. Exit プランは必ず持つ
最後に身もふたもない話で申し訳ありませんが、Exit プランは必ず準備するべきです。
台湾進出を支援してきた某コンサル企業の友人とよく話に上がるのは、台湾に進出する日系企業(DtoC企業に限らず)は Exit プランを持っていない、という事です 。
台湾に進出した場合、残念ながら初めの数年は赤字です。では、その赤字はどこまで許容できるのか?
3年でどこまで利益率を改善させたいのか?5年いる前提なら、5年後にはどうなっていたいのか?最低限クリアしないといけない目標は何か?
こうした指標がないと業績が悪いまま撤退のタイミングを失い、ずるずる台湾にいる事になります。
では本格的に進出せずに、テスト販売で越境ECを試す企業はどうでしょうか?
越境ECを試す企業にオススメしたいのは、まず1年間いくつかの商品をテストし、1年後にどの商品でどんな数字が出れば、継続の判断をするか決めておくという事です。
今時最初からCPA が単価と同じぐらいになる事はほぼなく、単純に CPA が高いという理由だけで停止する場合、多分3ヶ月で停止します。
実際僕らは過去に2-3社そういう会社さんと取引した事があります?
潤沢な資金があって何年失敗してもいい!というマインドならいいですが、そうでないなら Exit プランは必ず持つべきです。
柔軟性とスピード
本当はもっとお話ししたい事がありますが、もうすでに長文なので、この辺で終わります?
もっと知りたいという方是非一度 applemint までお問い合わせください。
これをご覧になった方の中には、「お前に何がわかるんだ!」「自分がDtoC企業じゃないからって他人事で話すな!」と思った方もいるでしょう。
そう言われると反論の余地はありません。ただ、僕は台湾に進出するDtoC企業を否定したいのではなく、1社でも多くうまくいってほしいと思っているだけです。
今回のお話をまとめると結局、台湾に進出して成功するために柔軟性が大事な事がわかります。
定期に執着しない柔軟性や CPA の概念ばかりに捉われない柔軟性です。
DtoC企業は長年定期獲得を追い求め、CPA を重視してきたので、これが難しいのは容易に想像できます。
しかしながら文化や状況に合わせて戦略の変更が大事な事は言うまでもありません。
これは自分への戒めでもあります?
例えば、コロナ禍で DtoC を強化してきた Nike や Adidas は、2023年になって小売店との共存を再び強化する事を発表しました。
台湾に進出した DtoCの企業さんがオフラインの販売やオファーのやり方を変更したように、台湾では日本の DtoC のモデルにとらわれないやり方が重要になってくるでしょう。
applemint では台湾で成功をしたいと考えているDtoCの企業様をお手伝いできるだけのノウハウとスピード、そして透明性を持っています。
僕らはクライアントの成功のために、良いことも悪いことも隠さずに全てをお伝えした上で、一緒に台湾事業成功のお手伝いができればと思っています。
以上、applemint 代表佐藤からでした!
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