こんにちは!applemintの木村です。
台湾市場は昨今「成熟期」に入り、新規参入や持続的な成長がますます難しくなっています。このような中で、台湾で事業を展開する日系企業の総経理やマーケティングリーダーの皆さまにとって、マーケティング戦略の立案は非常に重要な課題となっています。
今回のブログでは、森岡毅さんの著書『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』の中で紹介されている「イノベーションフレームワーク」を中心に、私自身の台湾での失敗談を交えながら、台湾市場での課題にどう向き合い、具体的にどのようなマーケティング戦略を取れば成果を上げられるのかについてお伝えしていきます。
台湾でのマーケティング戦略にお悩みの日系企業総経理やマーケティングリーダーの皆さまにとって、実践的なヒントになれば幸いです。
Contents
USJの奇跡を生んだ「アイデアの神様=確率」
森岡さんがUSJに参画した当時、USJは「客数減少」「人手不足」「資金不足」の三重苦に直面していました。その厳しい環境下で、どのように戦略を立て、実行したのでしょうか?
森岡さんは、「USJのV字回復を実現した背景には『アイデアの神様=確率』がある」と語っています。これは、成功するアイデアや戦略は天才的なひらめきではなく、明確な目的を持ち、正しいプロセスを経て確率を高めることで生まれるという考え方です。
この「確率」を高めるための鍵が、後述する「イノベーションフレームワーク」です。このフレームワークは、台湾の日系企業が直面する「ブランド認知が足りない」「限られたリソースをどう活用すべきかわからない」といった課題の解決にも応用できます。
イノベーションフレームワークとは?
森岡さんが提唱する「イノベーションフレームワーク」は、次の4つの柱で構成されています:
- フレームワーク:戦略的思考
「目的→戦略→戦術」の順序を守る。まずは「目的」を明確化し、それを達成するための「戦略」を設計します。その後、実行に必要な具体的な「戦術」を選定します。 - リアプライ:成功事例を参考にする
自社と類似した成功事例や失敗事例を分析し、教訓を応用します。 - ストック:インプットを増やす
データ収集や競合調査、消費者インサイトの蓄積により、アイデアの基盤を強化します。 - コミットメント:徹底的に考え抜く
問題の本質を徹底的に突き詰め、最善策を見出すまで考え続けます。
このフレームワークを台湾市場に応用することで、日系企業が直面している課題解決に大きな力を発揮できるはずです。
私の失敗体験:台湾でのフルーツパーラー挑戦
私は2018年に台湾へ駐在員として赴任しました。
当時私が勤めていた会社は、海外法人設立・店舗運営において全て初めての会社でした。
また、台湾での店舗は日本でも事業展開をしていないもので、初めてずくしを台湾で挑戦することになりました。
当初、台湾での事業展開は下記のように考えていました。
目的:日本のフルーツを手軽に楽しんでもらい、海外への輸出販路を広げる。
戦略:台湾にはグループ企業があり、会社設立のノウハウやサポートを得られる状況でした。また、既に輸出先もあるため、販路拡大が容易だと考えていました。
戦術:台湾でフルーツパーラーの実店舗を運営する。
実際は・・・
目的のズレ
日本産フルーツを台湾で販売すると、売値は現地フルーツの3倍近くに。これでは「手軽に」のコンセプトを実現できませんでした。また、台湾人が日本旅行でフルーツを購入するのは「特別感」によるもので、現地市場でのニーズを過大評価してしまいました。
戦略の甘さ
台湾にグループ企業はあるものの、業界が異なるため、店舗開店までの準備は全て手探り状態でした。さらに、輸入規制や検疫の影響で鮮度が低下し、高価格に見合う価値を提供できませんでした。
日台では農薬基準が違く、桃や苺など、輸出できる農家が決まっていることも卸値高騰に繋がっています。
戦術優先の思考
なぜ日本の青果業界で競合となる千疋屋や高野が台湾に出店していないのかという重要な点を十分に分析せず、現地調査も客観性を欠いたものとなっていました。その結果、「フルーツパーラー運営」という戦術が目的や戦略に合致せず、2年で撤退することになりました。
日本の千疋屋や高野のフルーツパーラーは外国人観光客で賑わっていますが、海外進出していないことを「チャンス」と捉えてしまいました😓
台湾マーケティングに活かすポイント
私の実体験をイノベーションフレームワークで考えると、どのような改善策があったのか、振り返ってみます。
- 戦略的思考で考える
目的が明確になっていても、戦略が誤っていたら元も子もありません。戦略を練るには、まずは3C分析で自社の強み、競合、消費者の徹底分析が必要です。これは「リアプライ」「ストック」「コミットメント」においても基盤となります。 - リアプライ:成功事例を参考にする
他国の高級フルーツブランドの事例や、なぜ千疋屋や高野が海外展開をしていないのか?などを学ぶことで、戦略を再考することができたはずです。成功事例を調査し、自社に当てはめていくことで成果を出す確率を向上させることができます。 - ストック:インプットを増やす
自分の主観や知見だけでなく、現地のSNSや消費者の声を活用し、データを収集すること。台湾市場特有の消費行動を深く理解することで、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。 - コミットメント:徹底的に考え抜く
戦略の迷いが生じたときは、その原因を徹底的に突き詰める覚悟を持つ。特に初期段階での検証を怠らないことが重要です。成果が上がらない原因を一つ一つ仮説立てて検証し、潰していくことが必要です。
結論:戦略的思考で考えること!
森岡さんの著書から学んだイノベーションフレームワークで振り返ると「戦略的思考:目的→戦略→戦術」がいかにマーケティング戦略を立てる上で重要であるかを学びました。
台湾市場でのマーケティングにおいて、日本での成功体験や机上の空論で話を進めるのではなく、台湾市場での状況理解を深め(3C分析の徹底)、適切な戦略を練ることで、限られたリソースの中でも大きな成果を生み出すことができます。
applemintでは、台湾市場でのマーケティング支援を通じて、多くの企業の課題解決をお手伝いしています。もし台湾でのマーケティングに関するご相談があれば、ぜひapplemintにお問い合わせください。私たちの知識と経験を活かし、貴社の成功を全力でサポートいたします!
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