こんにちは、applemintの津山です!皆様は「東京女子図鑑」というドラマを見たことがありますか?秋田の田舎に住む女子(水川あさみ)が、東京に上京して、都会のオンナとして成長していく…というストーリーです。
実はこの台湾版が、2021年に公開されました。その名も「台北女子図鑑」です(そのまんまですね)!
しかしこの「台北女子図鑑」が、実は台湾人の間で話題になっています。「台湾の田舎」と設定されている南部・台南は、そんなにド田舎じゃない、台北の生活とそんなに物価も変わらない!といったクレームが、制作会社に殺到したのです。
私自身、駐在員として、2年間、南部の台南に住んでいましたが、特に台南駅の付近は、田舎ではないと思っています。最近では、若者の起業家がリノベーションカフェやバーをオープンし、むしろ「おしゃれな街」という雰囲気すら漂うほどです。
台湾の南部暮らしは、現在、台湾人の中でも注目が高まっています。そこで、今回は、これから台湾駐在に来るかもしれない方に向け、台湾の都会・北部(台北)と、田舎・南部(台南)の暮らしを経験した筆者が、両者の違いをご紹介します。
そして最後に、日本人駐在員が知っておいて損はない、台湾・南部でビジネスを成功させるポイントも、併せてご紹介します。
Contents
台湾の都会「台北」と田舎「台南」の生活比較
まず、台北女子物語で代表される台湾の都会「北部・台北」と、台湾の田舎「南部・台南」の暮らしがどれほど異なるのか、人口、物価、家賃、給与、交通面の5つの観点から、比較したいと思います。
その1. 人口:台北 264万人 VS 台南 188万人
人口から見ると、やはり台北の方が多いことがわかります。とはいえ、1.4倍程度の差なので、日本の東京都と秋田県の差(約14倍)に比べれば、たったの10分の1程度にとどまります。
つまり、東京女子図鑑と、台北女子図鑑では、前提として環境が大きく異なるということがわかっていただけるかと思います。
その2. 一般消費財の物価:台北 映画館 400元 VS 台南 映画館 270元
台湾のLINEニュースで台北と台南の物価比較をしていた記事を見ると、台南は台北に比べ、映画館のチケットが40元、お弁当は70元安い、と紹介されていました。
実際に國賓という台湾の映画館チェーンを調べたところ、台北の映画館は400元だったのに対し、台南の映画館は270元と、さらに差が開いています。映画は日本全国ほとんど一律価格なので、北部と南部で1.5倍も差があることには驚きです…。
全国チェーン店のスーパーやドリンクの価格などは、どちらも同じですが、伝統市場の野菜や、お弁当などは、確かに台南の方が数十元程度、安いイメージがあります。
その3. 1ヶ月の平均給与:台北 4.0万元VS 台南 3.3万元
台北と台南の給与水準を比較すると、大体7千元程度の開きがあります。しかしここ数年でかなり差が縮まってきています。
台南は最近、半導体のTSMCが新工場を立てるなど、科学園区と呼ばれる場所を中心に給与の高い企業が集まっているため、技術者の給与が高くなっていることが理由と考えられます。
現在台南では技術者の取り合いが激しく、いい技術者は全てTSMCに取られてしまうそうです…
その4. 住宅価格(新築):台北 80万元/坪 VS 台南 20万元/坪
台北にある新築の平均価格が80万元/坪であるのに対し、台南はたったの20万元/坪と、住宅価格は約4倍もの差がある、という結果が出ています。
台北が高い理由は、企業や人口が集中しており、住宅需要が高いためと考えますが、それに加え、台南は市内に古い建物が多く、新しい住宅は少し離れた場所に建てられるため、価格が上がりにくいのではないかと考えています。
ただ、現在では、TSMCの工場ができたこともあり、台南(南部)の住宅価格も徐々に上がってきています。
その5. 交通の便:台北 メトロあり(6路線) VS 台南 メトロなし
台北には地下鉄がありますが、台南にはありません。台南の移動は、バイクがメインで、そのほかはタクシーか、バスか、自転車になります。
交通に関しては、バイクにあまり乗らない日本人からすると、台南の方が不便と認めざるを得ません…。
台南の日本人駐在員の行動は、常に運転手に見られています。会社が用意したタクシー会社を使うと、会社にプライベートがバレるので、気をつけてください…?
以上の内容をまとめると、給与面や交通の便利さでは北部・台北に劣るものの、物価が安い点においては、生活がしやすいというのが南部の生活です。
台湾の南部(台南)の暮らしは北部より不便なのか?実際の感想
台南に暮らしていた頃、私が日本人の方に「台南に暮らしています」と紹介すると、すごい田舎に住んでいる!というイメージを持たれました。
しかし、両方に住んでみた結論から言うと、台北女子図鑑でクレームが殺到したように、台南の中でも人が集まるエリア(台南の東区、北区、永康区、安平区など)は、そこまで田舎とは感じません。
台南は、台北まで新幹線で2時間程度で行けるため、感覚的には名古屋くらいのイメージです。また、台南には、H&Mやユニクロなどのチェーン店や、三越や南紡ショッピングモールと呼ばれる、高級ブランドが入った大型百貨店もあります。日本食も簡単に手に入るので、駐在員でも、特に生活に困ることはありません。
また、台南は、日本人が少ないため、日本人の集まりも多く、会社の垣根をこえて日本人同士が仲良くなりやすい、というメリットもあります。
台湾の南部(特に台南)にはチェーン店がない!?
食べ物も洋服も、比較的なんでも揃っている南部・台南ですが、実は一つだけ北部・台北と大きな違いがあります。
それは、台北では多く見かける日系のチェーン店が、ほとんどないということです。外国の主要都市では必ず見かける牛丼チェーンの吉野家さえもないのです。以下は2019年で少し古い情報ですが、今でもすき家、吉野家、は未進出です。(南部の高雄には、数店舗ですが吉野家があります。)
ちなみに鼎泰豐とIKEAもドンキも、まだ台南にはありません?(高雄にはやっと進出してきました…)
ではなぜ南部では、北部ほどチェーン店が流行らないのかというと、以下の3つの理由が考えられます:
- 味やサービスが受け入れられない。
- 地元には既存の安いサービスがあるため、高いお金を払ってまで、日本式に拘らない。
- 日本人の責任者が台北にしかいないため、統制が取れない。
レストランの場合、南部の人は、特に甘い味を好むため、チェーン店が進出する場合は、味付けを独自にアレンジしないと成功しない、という話を聞いたことがあります。しかし、たかが地方都市のためにそこまですると、おそらく費用対効果が見合いません。
また、日系チェーンが進出する場合、欠かせないのが日本人管理者の存在です。台湾人のトップに任せきりだと、日本の本社に対しては、いいことばかり報告したり、サービスの質が落ちるリスクがあるためです。
しかし南部に責任者を置くと、2倍の駐在員のコストがかかるので、実際には踏み切れないという場合が多いようです。
台湾の南部で日系のサービスを成功させるには?
では台南などの南部地域で、日系チェーンが成功する道はあるかというと、やり方によっては、YESであると思っています。
2021年、日系のブランドを揃えて、台南にオープンした三井アウトレットパークは多くの買い物客で賑わっています。日系の一流ブランドが手頃な値段で手に入ることに加え、台湾人の食へのこだわりに注目し、飲食スペースを日本の3倍に広げたことが、成功した理由と言われています。
この決断について、当時の台湾三井アウトレットパークの責任者のお話を聞いたところ、飲食店の広さやレストランに関しては社内で相当討論を続け、最終的に台湾人スタッフの意見を採用したそうです(同じ大学なので、台湾のOB会で、直接お話を聞けました!)。
台湾で成功するためには、台湾人の習慣や文化に合わせて、ビジネスモデルを再構築することが重要である、と言うことは、以前より弊社CEOの佐藤がapplemint labの方でもご紹介しています。
現在、台湾では、物価の高い北部から、南部に移住をしたいと考える人が増えていると話題になっています。もし本当に実現すれば、今後は南部に、日本のサービスを使い慣れた台湾人が増えることも予想されます。
もし、今後台湾に赴任される予定がある方は、今から南部をリサーチし、チャンスがあれば南部進出も検討してみてはいかがでしょうか?
弊社applemintでは、台湾現地で6年のビジネス経験をもとにした、台湾マーケティングのノウハウと実績が豊富にあります。もし、台湾進出のお手伝いを依頼したい、あるいは台湾の最新市場が知りたいとお考えの企業様は、ぜひ以下よりご連絡いただければと思います!
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