【日本と台湾の消費者に対する保護の違い】日本人が台湾で感じるインフルエンサーマーケティングや価格表示に対する違和感

【日本と台湾の消費者に対する保護の違い】日本人が台湾で感じるインフルエンサーマーケティングや価格表示に対する違和感

こんにちは!台湾でデジタルマーケティングの会社 applemint の代表を務める佐藤(@slamdunk772) です!

今日は、台湾のインフルエンサーによる PR はステマだらけなので、台湾は日本を見習ってもう少し消費者を見習ったら?みたいなお話をしたいと思います。

なお、このブログは僕が換日線という台湾メディアにコラムで寄稿したものの日本語版になります。台湾人向けに書いたため、日本人の方が読むと一部「んっ?」と思う部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。

インフルエンサーマーケティングは右肩上がりで、2029年までに699億ドル(約9兆7800億円)規模の産業になると予測されています。

参考:Global Influencer Marketing Platform Market – Industry Trends and Forecast to 2029

僕も日本の著名人やインフルエンサーが YouTube で紹介していた商品を買ったことがあります。

ただ、台湾のインフルエンサーに関して言うと、僕は台湾のインフルエンサーが紹介した商品を購入した事は一度もありません。

その理由は単純で、台湾のインフルエンサーの紹介は”宣伝”であり、メーカーに言わされている事が露骨だからです。

*台湾のインフルエンサーの方々を攻撃している訳ではなく、宣伝の仕方が日本と異なり、文化の違いから僕は購入しないという個人的な意見です。

では、日本と台湾ではインフルエンサーの宣伝にどんな違いがあるのしょうか?今日は日台のインフルエンサー宣伝に対する傾向についてお話をします。

結論から言うと、台湾のインフルエンサー規制や消費者を守る規制は、世界の基準と照らし合わせると、かなり遅れていると思います。

世界で広がるインフルエンサー規制の動き

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日本では2023年10月1日からインフルエンサーの宣伝を含む、所謂ステルスマーケティングに対して法規制がより厳格化されます。ステルスマーケティングとは、実際は広告なのに一般消費者には広告ではないように見える表示のことです。

つまり日本では10月1日からインフルエンサーがお金をもらって何か商品を宣伝する場合、必ず PR である事をはっきり明示する必要があるという事です。

参考:消費者庁

同様の動きはフランスでもあります。フランスの場合は例えば今後インフルエンサーが宣伝する商品の投稿にレタッチで修正を加えると、罰金の対象になります。

参考:フランスの事例

その一方で台湾では、如何にも PR っぽい動画や投稿はたくさんあるものの、 “PR”と表示しているインフルエンサーは稀です。一目見て、PR なのは大体わかりますが、インフルエンサー本人が推薦しているのか言わされているのか、正直境目がほとんどわかりません。

なぜ日本のインフルエンサーの話は信じられるのか?(日本の消費者を守る動き)

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日本はインフルエンサーが商品宣伝の場合、 「PR」 ときちんと明記するので、逆に PR と表示されていない商品やサービスの紹介は信じられる、好循環が起きています。

*僕がデジタルマーケティングをしているにも関わらず、顧客にほとんどインフルエンサーを薦めない理由は、インフルエンサーに嘘をつかせたくないからです。

その他にも日本は消費者を守る消費者庁が台湾よりもきちんと機能している事を度々感じます。

少し話は逸れますが、僕が台湾で仕事を始めて一番最初に驚いたのは、ECサイトのディスカウントの表示方法です。

台湾では、原價:3,000NTD→1,000NTD のような価格表示は一般的で、元々3,000NTD で売るつもりなんて全くないのに、原價を釣り上げるやり方はごく一般的です。

日本では、ディスカウントを行う場合、メーカー側が希望小売価格をきちんと設定した上でディスカウントをする必要があります。

参考:消費者庁<二重価格について

同様に、台湾ではインフルエンサーがメーカーからお金や商品をもらって宣伝しているにも関わらず、動画や投稿でPR について一切触れない事は驚きでした。そしてこれは今も続いています。

日本は消費者庁が消費者を守ろうとし、著名人やインフルエンサーも規則に対して非常に注意を払っているからこそ、時にインフルエンサーの言葉を信頼できます。

僕が日本のインフルエンサーが紹介した商品を買おうと思った事例

最近日本のインフルエンサーでステマにとても気を遣っていると思ったのは、<Kevin’s English Room / 掛山ケビ志郎>です。彼らはつい先日アメリカの某クッキーを動画で紹介しました。

動画では、アメリカで Beyonce や Kanye West のシェフを務めた有名シェフが作った12,000円のクッキーが紹介されたのですが、彼らは動画で公平なレビューを行うため、クッキー会社からの PR オファーを断った話を共有しました。

実はクッキー会社は元々彼らに自分達のクッキーを紹介してもらえないかアプローチをしたのですが、<Kevin’s English Room / 掛山ケビ志郎>は、日本の法律を意識し、尚且つユーザーに真摯であるため、正直なレビューをするために、お金やクッキーはもらわず、自分達でお金を払ったと動画で語りました。

当然この動画の概要欄にクッキーメーカーのリンクや宣伝は一切ありません。

彼らはクッキーに対して真摯なレビューを行い、時には厳しいレビューを行い、僕はその動画を見て僕はこのクッキーに興味を持ちました。

これが台湾のインフルエンサーなら、クッキーメーカーからお金とクッキーをもらって、ただクッキーの味を褒めて、PRである事を動画で言わず、概要欄に HP のリンクをこそっと載せるでしょう。当たり前ですが、厳しいレビューは行いません。

僕は台湾のインフルエンサーの規制が緩いが故に、インフルエンサーの言葉が本当かわからず、彼らが紹介する商品を購入する気にならないのです。

台湾のインフルエンサーに対する規制はないに等しい

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では、台湾のインフルエンサーに対する規制はどうなっているのか?

僕が調べた限り、台湾にはなんとインフルエンサーの宣伝を規制する規則がきちんとありました。しかも、規則を見ると、インフルエンサーはお金や商品をもらって宣伝する場合、きちんと「宣伝」と書く義務があると書いてあります。

参考:公平交易委員會對於薦證廣告之規範說明

しかし、僕が確認した限りだと、PRと明記していた台湾のインフルエンサーは1割ぐらいで、残りの9割は罰則の対象なのではないかと思うほどでした。

また、規則には、自分で商品やサービスを体験して偽るなと書いてあります。しかし、お金をもらっておきながらメーカーの悪口を言うインフルエンサーなどいるわけがないので、当然彼らは自分達が感じた肯定的な体験/意見を口にし、否定的な体験は一切述べません。

これは、日本の厳しいステルスマーケティングの環境下でマーケティングの仕事をしてきた僕からすると、結構なカルチャーショックでした。

正直あまり好きではありませんが、台湾の人がこうした宣伝習慣を善と捉えているなら、僕はそれに従います。

しかし、デジタルマーケティングを台湾で5年以上してわかったのは、インフルエンサーの宣伝は以前より明らかに効果が減少しているということです。

僕の仮説は、最初は台湾の消費者もインフルエンサーが本音で商品を紹介していると思って買っていたものの、徐々に PR である事を理解し、購入に繋がらなくなったというものです。

みなさんはどう思いますか?僕は自分の仮説はそんなに間違ってないと思います。

インフルエンサーの規制や消費者を守る動きは台湾が日本から学べる事例の一つではないでしょうか?

以上 applemint 代表佐藤からでした!

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Leo Sato 佐藤峻

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