こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
『【台北でお店を出す!】第一部:台北の人の流れをみる』では台北 MRT の各駅の人の出入りから、 台北でお店を出すと良さそうな駅を見つけました。
今回のブログでは、台北の空室率について調べたいと思います。なぜなら空室が多い場所は人が住んでいないため、人の流れが少ない可能性があるためです。人の流れが少ないと集客に影響します。
次に、台北の地区別の家賃を調べます。これにより、お店を出すとリスクが高い地区を検証したいと思います。例えば空室が多いのに家賃が高い場所にお店を出すと、人の流れは悪いのに家賃は高くて効率が悪い可能性があります。
それでは早速調査開始です!
台北の空室率
まず台北の空室率ですが、そもそもリアルな空室率を調べるのは難しいことがわかりました。毎月人が出入りする建物を一つ一つ確認して空室かどうかを調べるのには限界があります。
そこで今回は、台湾政府の一部のデータを加工して空室率を弾き出したいと思います。台湾の政府が定義する「空室率」は、以下の通り算出できます:
台北に登録してある全ての部屋 (全体の部屋数) ÷ 極端に電力消費が低い部屋
電気の消費が少ない家 = 人が住んでいないと考えます。しかしこの計算に落ち度があるとすると、政府が公開している部屋数の資料は「在宅数」と書いてあるため、恐らくオフィスが含まれないことです…
オフィスに勤務する人も人の流れに貢献します。
ひとまず上の計算式で弾き出した台北の各地区の空室率を見ていきたいと思います:
地区 | 109 年下半期 在宅数 | 空室率 | 110 年上半期 在宅数 | 空室率 |
中山區 | 7,074 | 7.36 | 7,084 | 7.38 |
北投區 | 6,894 | 8.29 | 6,566 | 7.92 |
萬華區 | 6,165 | 8.90 | 6,266 | 9.05 |
士林區 | 6,153 | 6.62 | 6,225 | 6.73 |
大安區 | 6,360 | 6.52 | 5,851 | 6.00 |
文山區 | 5,995 | 6.45 | 5,538 | 5.96 |
中正區 | 5,286 | 10.02 | 4,961 | 9.40 |
內湖區 | 4,942 | 5.39 | 4,706 | 5.15 |
信義區 | 3,922 | 5.21 | 4,154 | 5.49 |
大同區 | 3,882 | 8.73 | 3,871 | 8.68 |
松山區 | 3,754 | 5.69 | 3,766 | 5.69 |
南港區 | 2,244 | 5.67 | 2,422 | 6.15 |
参考:低度使用(用電)住宅、新建餘屋(待售)住宅最新調查報告摘要 (中国語)
この結果、2021年に空室率が高い地区 TOP は以下です:
- 2021年空室率が高い地区
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- 中正區:9.40%
- 萬華區:9.05%
- 大同區:8.68%
- 北投區:7.92%
- 中山區:7.38%
台北市では12の地区のうち、5つの地区が前年よりも空室率が上がりました。ただ台北市全体では空室数が62,671戸から61,410戸に減少しています。
次に2021年に空室の住宅が多い地区 TOP3 は以下です:
- 2021年空室住宅数が多い地区 TOP3
-
中山區:7,084 (前年度:7,074)
北投區:6,566 (前年度:6,894)
萬華區:6,266 (前年度:6,165)
台北の空室率を見た結論
台北市の各地区の空室数は、減少傾向にあることが分かりました。他の記事でも同じようなことが書かれています。
参考:低度使用住宅微幅變動
しかし一方で興味深いのは、登録住宅数が多いのに空室率が高い地区があることです。例えば北投區と中山區です。この二つ地区の空室率は、約8%です。つまり、この二つの場所では、住む場所は多いけれど空室が目立つという事です。登録住宅数が多いにもかかわらず、空室率が多い理由は3つあると考えます。
- 住宅数が多いのに空室率が高い理由
-
1. 北投區及び中山區は住宅の潜在ニーズがあるため、アパートやマンションを立てたが、まだ人が入居していない
2. もともと登録されている住居数が多い
3. 潜在的なニーズは高いが家賃が高い
#1-2に関しては正直データを追うことが難しいので、#3の家賃を見ていきたいと思います。
台北市の地区別家賃
まずはこちらをご覧ください。台北市の一坪あたり家賃の一覧表です。
上記の一覧表見ると、大安區の家賃が一番高く、次に信義區、松山區と続きます。前回のブログで『西湖』という駅は、平日と週末の人のトラフィックの落差が大きく、店舗ビジネスには厳しい環境であるというお話をしました。
その西湖駅がある內湖區は、1坪あたりの家賃が比較的高いです。つまりBtoBのように平日勤務の会社員を相手にするビジネスならいいですが、店舗ビジネスだと人の流れは悪いのに家賃は高いため、店舗ビジネスのリスクが高いと考えられます。
次に台北市の地下鉄の駅別の家賃をご紹介します。
この数字はエレベーター付き各駅のアパートワンルームの家賃を1/1000で表しています。例えば「20」と書かれた駅のアパートワンルームは大体 20,000NT かかるということです。
前回のブログで分かった平日と週末にコンスタントに人が集まる駅トップ4の駅の家賃は以下の通りです。
- トラフィックがコンスタントにある駅の家賃
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- 中山:20,000NT
- 東門:25,000NT
- 忠孝新生:22,000NT
- 西門:18,000NT
次に平日と週末の人のトラフィックの落差が大きく、あまりオススメしない駅の家賃を見てみましょう。
- 平日と週末のトラフィックの落差が大きい駅の家賃
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- 西湖:15,000NT
- 台大醫院:18,000NT
- 松江南京:23,000NT
- 南京復興:19,000NT
- 國父紀念館:21,000NT
- 信義安和:20,000NT
內湖地区は家賃が高いのに、內湖地区にある西湖駅は意外にも家賃はそこまで高くありませんでした。
ここからわかるのは、松江南京駅や、信義安和駅、國父紀念館駅は、平日は人が多く週末は人が少ないのに、家賃は高いということです。これはつまり、これらの地区でお店を建てたら週末の売り上げが下がるけれど、家賃は高いという事を示唆しています。
もしも平日に週末の売り上げをカバーするほどの集客が出来れば問題ないですが、そうでなければ松江南京駅や、信義安和駅、國父紀念館駅は要注意です!
空室率と家賃から見えたなんとなく良さそうな場所
MRT の駅のトラフィックを見たときに、お店やオフィスを立てるなら中山駅と忠孝新生駅がいいかなーと思いましたが、空室率や家賃を見ても、改めてこの辺が良さそうな気がしてきました。
ちなみに中山駅は、現在おしゃれなカフェやアパレル店がどんどんオープンして人のトラフィックが増えています。昔はショッピングといえば忠孝敦化あたりが有名でしたが、現在は中山に人が集まってます。
次に忠孝新生駅ですが、少し歩くと「華山1914文化創意産業園区」という日本統治時代の酒工場の跡地を生かしたおしゃれなイベントスペースがあります。最近はドンキホーテの2号店もできました。
この二つの駅の中でも中山はプラスアルファで空室率が少し高いので、大家さんは入居する人を求めていると考える事ができます。つまり入居する側が交渉を有利に進められる可能性があるという事です。
次回のブログでは Google map から人の流れを予測し、実際に現場に足を運んで人の流れを観察したいと思います。
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