こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
台湾にある日星鑄字行という活版印刷屋さんをご存知ですか?
結構有名な場所でパソコンの時代に今もなお営業を続けている活版印刷屋さんで繁体字の活版印刷屋は全世界でもここしかないそうです。
今回は日星鑄字行にお邪魔し、スタッフの方にガイドを頼んで詳細にお店の説明をいただきましたのでそのレポートをお届けしたいと思います。
このブログではガイドさんの説明をもとに「日星鑄字行」を2倍も3倍も楽しむ方法をご紹介します!
Contents
日星鑄字行とは?当時から現在に至るまで
日星鑄字行は今から約50年前に創業した活版印刷屋さんで現在は2代目が経営をしています。
日星鑄字行の詳細な説明をする前にまずはその当時の印刷物が出来が上がるまでの工程を説明し、創業時の時代背景を説明したいと思います。
創業当時、印刷物が世に出るまでには 5つの工程がありました。
- 活字の作成
- 正しい活字をピックアップ
- レイアウト調整
- 印刷
- 製本
日星鑄字行は活字の作成と作った活字を顧客の依頼に合わせて在庫から選んで売るという仕事をしていました。
もう少し分かりやすく説明します。
例えばその当時私が「アップルミント」という文字を印刷したいと思ったら、まずは日星鑄字行に行って活字を購入します。
購入時にもしも「ア」「ッ」「プ」「ル」「ミ」「ン」「ト」という七文字の活字が在庫に無ければ日星鑄字行は新しく活字を作成します。
在庫があれば何百万種類もある活字の中からきちんと選んで渡します。
これが日星鑄字行の仕事でした。
また、活字を作ると行ってもただ単に1サイズを作るのではなく5サイズほど作ります。
つまり例えばこの世に1000種類の漢字があったとしたら、1000種類 x 5 サイズで5000個活字を作ることになります。
また、漢字には明朝体、筆書体、ゴシック体の3種類があります。
繁体字は約5万種類あると言われているので5万字 x 5 サイズ x 3書体 + 売り切れないように在庫を作るとなると相当な数の活字になりますよね。
そんな膨大な数の活字が敷き詰められた部屋から「ア」「ッ」「プ」「ル」「ミ」「ン」「ト」という文字をしかも全て別サイズをちょうだいと言われた時には悪夢です。探す側は大変です。
しかも当時はこの方法でしか印刷ができなかったので複数の業者から活字をピックアップするよう依頼が来るため、担当者は日中ずっと室内を歩き回ります。
そんな場所に一般人がいたらどうでしょうか?はっきり言って邪魔です。
そのため活版印刷屋さんは今まで一般市民に開放されていませんでした。
それを 2009年頃に一般公開したことで、観光目的でくる顧客の収入源を得られるようになり日星鑄字行は今日に至ります。
それではこれらの時代背景がわかったところで、早速中の様子を詳細に見てみましょう。
室内の様子
室内は以下のように複数のセクションに分かれています。
ここには主に3種類の書体が存在します。
それぞれ楷書、宋體、黑體と言います。
楷書は筆書体で、宋體は明朝体、黑體はゴシック体です。
つまりこの空間内には少なくとも5万字のフォント x 5種類 x 3つのバリエーションの漢字の活字があると考えるとわかりやすいです。
例えば宋體の1号サイズで「佐藤」という文字を作ろうとすると、上記マップでいうと右から3列目と4列目の奥に行って探すことになります。
また、創業当時は日本統治時代の名残もあり、日本語の活字も作成されました。その当時は、英語も使うことがあったため、アルファベットの活字もあります。
次に実物の活字を作る機械をご紹介します。
この中に鉛を入れて300度ほどで溶かして型に入れて活字を作ります。(銅と鉛を聞き間違えた可能性があります….)
溶かした鉛は以下の型に入れられて固まって活字になります。
残念ながらこれらの機械は現在生産が停止されたため、故障したら二度と使えません。
現在では下記のような新しい機械でも活字を作流ようです。
それにしても brother 社はこんな機械を作っていたことにびっくりしました。
ここで具体的に何ができる?日星鑄字行の楽しみ方!
では日星鑄字行という世界で唯一の繁体字活版印刷屋で何ができるのでしょうか?
僕が日星鑄字行に行った時の楽しみ方をご紹介します!
その1ガイドをお願いする
ガイドをお願いすると中の様子や日星鑄字行のことを細かく説明してくれます。
初めて来た人にはガイドを頼むことをおすすめしますが、全て中国語なので通訳なしではきついです。
ガイドは300元 かかります。
1人で来てガイドを頼んだら300元、2人で来てガイドを頼んだら1人150元 です。
(100元/人って書いてますが実際は300元 で3人入れば1人100元って意味です。この料金表非常にわかりにくいですよね….)
その2 自力で自分が欲しい字を探す
ガイドを聞いた後、自分が欲しい文字を自力で探すのが楽しくなります。
くれぐれもどんなレイアウトにするか決めてから探し始めてください。
例えば私の名前は「佐藤峻」ですが、この文字の横並びのレイアウトは出来ません。
また、一度棚から活字を抜いたらもとに戻すことは出来ないので気をつけてください。
もし間違えて取ったら強制的に購入されます。
一部の優しいスタッフは柔軟に対応してくれますが、8割のスタッフは結構強硬な態度で買えと言ってきます。(苦笑)
なぜ戻したらダメかというと人によって戻し間違えるためだそうです。
例えば佐藤の「佐」という字は「左」という字に非常に似ていますが、もし私が「佐」の活字を「左」に戻し間違えて次に「左」を取りに来た人が「佐」を取ってしまうと大変なことになります。
その3スタンプを作る
自分が欲しい字を見つけてきたら最後はスタンプを作ります。
厳密には作らなくてもいいのですが大抵の方は作って帰ります。
ちなみに活字はサイズによって値段が変わります。
1番大きい文字だと1文字〜元 します。
今回僕が作ったのは「蘋果薄荷」(アップルミントの意味)です。
こちら2号サイズを4つ選んだため、20元 x 4 +スタンプカバー100元 で合計 180元 でした。
終わってみて
来てみたら思ったより楽しめて非常に満足しました!
自分の名前を買うのもいいですがオススメは繁体字しかないような、フォントを使った活字の購入です。
例えば「龜」(カメ)や「圖書館」(図書館)とかですかね。
しかし、同時にめちゃくちゃ勿体無いと思ったところがいくつもありました。
最後に僕が個人的に思う改善点を述べて終わりたいと思います。
・室内の貼り紙や案内がわかりにくい
・サービスに柔軟性がない
・予約制にしたらどうか?
・活字サンプルがない
・外国語のガイドなし
中に入って何をすればいいのか全くわかりません。
日本語の注意書きや英語の注意書きが所々ありましたがまず、ここは何が出来てどうやって楽しめばいいのかという説明がありません。
私だったら日星鑄字行の楽しみ方をドアの前におきます。
活字を取り間違えることなんて誰だってあります。
明朝体が欲しかった私は危うく筆書体の活字を取るところでした。
なぜ一度取ったら強制購入なのでしょうか?
隣で間違って活字を取ったお客さんに対して、強制購入を促していた店員の話はあまり気持ちのいいものではありませんでした。
また、時間帯を間違えると非常に混んでいて活字を探しているときに他に人にぶつかりそうになりました。
オランダに言った時に世界遺産のシュレーダー邸を訪問したのですが、ガイド付きで全て予約制でした。
ガイド費を取って完全予約制にし、1時間20人ぐらいに限定した方がおそらくマネタイズも ユーザー体験も向上する気がしました。
また、活字の大きさを手で確かめるためのサンプルぐらい用意してくれてもいいのにと思いました。
最後に、外国人の観光客が多数いたのに、みな何をしたらいいかわからない様子で5分もしないうちに帰ってました。
実に勿体無いと思いました。
本気で多言語ウェブサイトの一つでも作って予約制を導入して、色々な言語に対応できるガイドを準備すればもっと良くなるのに勿体無いです。
ただし、全体を通すと非常に有意義な時間が過ごせたので満足です。
台北に来た際は是非訪れてみてください!
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