こんにちは! 台湾で applemint というデジタルマーケティングの会社の代表を務める佐藤 (@slamdunk772) です。
台湾でのデジタルプロモーションといったら KOL やインフルエンサーマーケティングが主流です。そして多くの広告代理店はこれらの手法をゴリ押しします。
弊社もそんな広告代理店の一つでした。しかしここ2-3年、何十人もの KOL を起用したデジタルプロモーションをやって気づいたことがあります。
KOL/インフルエンサーの起用は一部の企業には非常にリスキーではないか? KOL/インフルエンサーからの脱却が成功の道なのではないか?
KOL の起用が、 CV に少なからずいい影響をもたらすことは否定出来ません。
しかしながら中途半端な KOL の起用は CV はおろか、認知度を上げる効果もないと思い始めました。
そこでこのブログではまず、現在の台湾における KOL/インフルエンサープロモーションの現状、及び価格をお伝えします。次に、仮に KOL を起用した時、一体どれくらいで効き目が無くなるのか、KOL 起用期間の目安を書きたいと思います。
最後に、 台湾での KOL 及びインフルエンサー起用に関して、具体的な統計数字を用いて applemint なりの提案をしたいと思います。今台湾では KOL/インフルエンサーの起用方法が、改めて問われている気がします。
ちなみに2021年最新のインフルエンサーの事情については以下のブログで述べています。
また、以下はこのブログの内容を動画にしたものです。読むよりも動画を見たいという方は以下ご覧ください。
※2022年4月15日コンテンツ更新
Contents
マイクロインフルエンサー激増という現状
KOL Radar というサイトをご存知でしょうか?商品や媒体別に自分に合った KOL が選べるサイトです。
2020年以前はサイトに登録をすれば無料でインフルエンサーの検索が可能でしたが、2022年4月現在、マッチング機能は有償になったようです。
すいません、ここ数年使ってないので正直分からないです…
以前だと例えば、インフルエンサーにコスメ商品をプロモーションをして欲しければ、以下の写真のように『美妝』と『Facebook』を選べました。 そうすると以下のようにフォロワーが 2000 – 3000 ほどしかいない KOL がいっぱい出てきました。恐らくこれは現在も変わらないと思います。
こういう人たちを果たして KOL (key opinion leader) 、或いはインフルエンサー(影響力のある人)と言えるのか僕は疑問です。ちなみに以前この KOL radar を使って検索した際、検索結果に引っかかった人の中には、僕の大学院時代のフランス人同級生の彼女もいました(苦笑)
こういうマイクロインフルエンサーを多数起用して、商品を宣伝するのはいいですが、彼ら/彼女たちは影響力が疑わしいだけでなく、商品紹介も下手な場合が多いので要注意です。
また、こういうインフルエンサーの中には、自分の Facebook ファンページ内で商品の PR ばかりをしてファンページのコンテンツの質に疑問を持ちたくなる KOL もいます。例えば、 以前 KOL Radar をしようした際に登録されていた「艾波」さんのページはその典型的な例でした。
最近は 商品 PR はあまりしていないようですが、以前は商品 PR ばかりしていたせいか、投稿に対するエンゲージメントは低いです。
2019年に見た時はPRの投稿ばかりで2022年4月見たら少し落ち着いてまし…苦笑
価格
台湾でユーチューバーや KOL の起用がマーケティング施策として流行っていた事は、疑いようのない事実だと思います。ただし正直今は下火です。その理由の一つに価格があります。
ユーチューバーや KOL の価格は物価の上昇に合わせて年々上昇しています。これは台湾に限らずアメリカもそうだそうです。詳しくは以下の動画で語っています。
特にユーチューバーの価格上昇がすごいです。広告代理店やユーチューバーを抱える、マネージメント会社の手数料も高額です。
僕が以前 (2020年夏) にお問い合わせした某ユーチューバーは、 Facebook の1投稿が15万NT (約60万円)で、動画投稿が40万NT (約160万円)、Youtube投稿は1回 60万NT (約240万円以上) でした。これだけの金額を払って本当にこの金額の売上を達成できると思いますか?答えはNOです。
今一度、インフルエンサーを起用するときの目的の明確化が必要だと思っています。
広告の疲弊(期間)
KOL/インフルエンサーの広告には、通常 2つのやり方があります。
- 台湾 KOL/インフルエンサーのウェブ広告やり方
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1. Facebook 及び instagram への単発投稿
2. Facebook 及び instagram への投稿 & 投稿したページを広告配信
日系企業の方は、#2 の意味がよくわからない場合が多々あります。これは投稿後の投稿文を広告として2次利用し、配信するということです。結果として、インフルエンサーの投稿文の効力が長続きします。
一部の KOL/インフルエンサーは、投稿文の編集権限を一定期間広告主や広告代理店に開放し、広告配信を許します。台湾における KOL/インフルエンサーの起用はこの2次利用がとても重要になります。
以下、2次利用をしなかった某クライアントの流入数の推移です。
投稿した日の流入数は凄まじいものがありますが、3日目には落ち着いています。次に、インフルエンサーの投稿文を2次利用した場合の流入数の推移をご覧ください。
ご覧のように効果が持続します。(もちろん広告費は別途発生しています) 重要なのは、KOL/インフルエンサーの投稿から流入したユーザーは CVR が高い場合が多いということです。
弊社は基本的に投稿文の広告配信を許可しない KOLは起用しません。なぜなら、単発の Facebook 投稿は基本的に KOLフォロワーにしかリーチされず、 CV も2-3日で取れなくなるためです。
では投稿文を2次利用した場合、どれぐらいの期間使うといいのでしょうか?以下は、弊社が過去に CV が取れた10名ほどの KOL の CVデータを Day1 からDay24 まで、可視化したグラフです。
どうなっているか見づらいですよね?苦笑
それぞれの線は Day1からDay24までのインフルエンサーの CV 数を表します。このグラフでわかることはどの線も多少CV数は上下するものの、時が経てば経つほど CV 数が少なくなる訳ではないということです。
要するに、 CV が取れる KOL /インフルエンサーは24日経ってもCV が取れるということです。。
また、このグラフにはありませんが、通常KOL/インフルエンサーの広告配信期間を30日ほどに伸ばすと、 流石に疲弊が見え始めます。ちなみに CV が取れない KOL は何日広告配信をしても取れません。
そのため、インフルエンサーの投稿を 2次利用をする場合は可能であれば2週間から1ヶ月もらえるとベストです。
最後に、どんな KOL を起用すれば CV が取れるか述べたいと思います。
フォロワーと CV の相関
Facebook のフォロワーが多い KOL /インフルエンサーは CV が多く取れると考えている広告主は多いです。実際はどうでしょうか?
今回 KOL 11名をサンプルに、フォロワーと CV 数の相関を excel の CORREL関数で計算してみました。以下簡単なサンプルの詳細です。
KOL サンプル数:11名
フォロワー数平均:195,800 (中央値145,000)
CV 数平均:253 (中央値241)
期間:24日
商品:コスメ系
結果、フォロワー数とCV数の相関係数は 0.4038 でした。CV とフォロワー数の間の相関は低いということです。
もちろん、僕がこの結果を導き出すために、バイアスを持って、わざと相関を低くするようなサンプルを抽出することもできます。従って、このデータをどう解釈するかは、読者の判断になります。
僕の考えは、 KOL を起用した場合の CV 数は、やってみるまでわからない、というものです。
現在 applemint では様々なインフルエンサーの投稿要素をスコアリングして回帰分析をしています。もうすでに失敗しないインフルエンサーの選び方もいくつか仮説があります。興味がある方はコチラからお問い合わせください。
今後の台湾における KOL/インフルエンサープロモーションの考え方
マイクロインフルエンサーが激増し、KOL 起用価格は上昇の一途を辿り、フォロワー数と CV 数の相関が低い、という現状下の台湾で、何をすればいいのでしょうか? KOL/インフルエンサー起用のネガティブな要素が浮き彫りになる中、わかってきた事象もあります。
まず、KOL/インフルエンサーを起用すれば、幾らか CV は取れます。しかし正直なところ CV 数の大小は投稿されるまでわかりません。また、CVが取れるKOL/インフルエンサーは投稿文を 2週間広告配信しようと、3週間広告配信をしようと、CV は継続して取れそうということです。
「タイトルには台湾でのKOL/インフルエンサーはお薦めしないと書いてるのに、結局薦めてるじゃん!」と思った方!
僕は、広告予算が限られた中小企業の広告主、台湾進出を慎重に薦めたい広告主の方に対しては、 KOL/インフルエンサーの起用を勧めません。
なぜでしょうか?
KOL/インフルエンサーの起用はまだまだ博打な要素が大きいからです。当るまで 3-4人試さないといけない可能性があります。また、 KOL 起用の価格がどんどん上昇しているので、少ない予算だと全く影響力のない KOL しか起用できない可能性があります。
大手や広告予算が大きい広告主は、 KOL/インフルエンサー起用を今後もやってみるといいと思います。しかし一度起用して当ると、起用しなかった時の CV 数が極端に下がる可能性が高く、売上が悪く見えるので KOL 起用に依存する可能性もあります。
台湾における今後のプロモーションの在り方
今、改めて戦略的に、ロジカルにプロモーションをすることが必要だと、applemint は考えています。 大部分の広告主の KOL を起用する目的は、売り上げアップです。特に、費用対効果の可視化を重視する DtoC (通販企業) は、 CV 数に対してシビアなので、CV がないプロモーションを避ける傾向があります。
これは言い換えれば、CV が取れて費用対効果が可視化できればいい、ということです。 台湾で KOL/インフルエンサーマーケティング以外で、CV が取れて費用対効果がわかる施策はあるでしょうか?
僕が最近携わった、プロモーションの成功事例を1つご紹介したいと思います。
CPTN Hook 、という Hiphop のアパレルブランドが、ブランドの6周年を記念して、 Hiphop のイベントを開きました。以下のブログに概要を書いています。
「ブッダブランド」という、日本ではかなり有名なラッパーの来台に合わせて、対バン形式で、当日は6組のラッパーがラップを披露しました。 パフォーマンスの際、みんな CPTN Hook の服を来て舞台上で CPTN Hook への感謝を述べていました。
「ラッパーは儲からない。 CPTN Hook みたいなブランドが俺らの活動を支えてるんだ」
「The wall (台北で大きなライブハウス) で、初めてライブが出来た。これは紛れもなく CPTN Hook のおかげだ」
これを聞いた会場にいたお客さんはライブ後、どうしたと思いますか?会場内にあった CPTN Hook のポップアップストアに殺到しました。
今回の HipHopイベントにかかった正確な費用はわかりませんが、 CPTN Hook の社長と話した感じだと、ライブ会場の費用やブッダブランドの渡航費、ラッパーのギャラを全て足すと大体 30-40万NT (100-130万円) だったと思います。
某ユーチューバーのビデオ投稿、一回分の費用と同じです。
これにライブのチケット代の儲けを引くと、今回恐らく -5~10万NT でした。結果は赤字です。しかしこれにポップアップストアの売上を足すと恐らくプラマイゼロでした。しかもこのイベントでは来客者に「ライブ体験」を提供出来ました。
僕はイベントと物販を結びつけるこのやり方に非常に未来を感じました。今、台湾で売上アップという目的に対して盲目に KOL を使うのではなく、同じ費用を費やすなら、「何が本当に最適なのか」、改めて考え直す必要があると思っています。
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