こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
数年前に始まった通販会社の台湾進出ブームは、ようやく落ち着いてきました。
それでも新規で台湾に進出する後発の通販会社は、未だに結構います。消費者にダイレクトで商品を売りたい通販メーカーにとって、 LP の効率は死活問題です。
そこで多くの通販会社は、まず日本でうまくいっている長い LP を繁体字に翻訳します。この日本式の長い LP は台湾ではうまくいっているのでしょうか?
みなさん知りたくないですか?
今回は日系企業が好む長いLP に関して、 applemint が見たこと、聞いたこと、実践したこと、そして LP 制作で心がけていることを余すことなく伝えたいと思います!
文章より動画がいいという方は、LPの注意点を以下の動画にまとめてます。興味のある方は是非ご覧ください!
Contents
そもそも LP が長いのはなんで?
日本式の LP を初めて見る台湾の人は口々に、「なんでこんなに長いの!?」と言います。通販メーカーもアホではありません。長いのにはちゃんと理由があります。
その理由は、主に二つあると言われています。
1. エンゲージメント:LP が長いとユーザーの滞在時間が長くなり、滞在時間が長いと CVR が高くなる傾向があります。
2. コンコルド効果:人は自分がかけた時間が無駄になるのを嫌います。
例えば LP に滞在した時間が長かったのに、何もアクションを取らないと人は滞在した時間を無駄と感じるらしいです。
時間が無駄になるのを嫌う人は、購買というアクションを取るらしく、この心理を利用するため、長くてテキストの多い滞在時間が長くなる LP ができたと言われています。
他にも理由はあると思いますが、このブログのメインテーマではないので割愛します。
台湾進出通販会社の長 LP vs. 短LPの結果!
長い LP が長い理由を述べたところで本題に入りましょう。『長い LP はうまくいくのか?』いきなり結論を言います。
2022年4月現在、長い LP の方が効率がいいケースが多数です。
某コスメ会社で実際に長い LP と短い LP を用いて、効果を比較したところCVR でいうと1.3%ぐらい差が開きました。両者とも使用したイメージやテキストは同じでした。
短い LP の効果が悪かった理由は3つ考えられます。
1) 短い LP 側で省略したコンテンツが実はものすごく重要だった
2) 短くなったから悪くなった
3) トラフィック(流入ユーザー)の質が悪かった
残念ながら、どのコンテンツを省略した時に CVR が変化するかを長期間で試すことは出来ませんでした。また両方とも Facebook で同じオーディエンスに広告を投下していたため、流入ユーザーが問題だったと考えるのはあまり正しいとは思えません。
長い LP の方が効率がいい明確な理由はまだ検証が必要ですが、とりあえず台湾で LP は長くした方が良さそうです。
(補足)ちなみに他の国では違います。最近LPに関して日本で日系企業の海外進出支援を行なっている世界へボカンの徳田代表と対談したので、気になる方はぜひチェックしてください!
まさかの企業が長LP!適切な LP の長さとは
では台湾ではどれくらい長い LP がいいのか?そもそも日系の通販会社以外で、長い LP を使っている会社はあるのか?これは色々調べたところ面白い事例が見つかりました。
実は世界的にデザインで有名な apple 社の LP (プロダクトページ)が長いんです。
試しに『iphone 13』や『ipad air』のページをご覧ください。
世界先端のデザインをしている apple のサイトが長いのを見た時、僕は長い LP が答えなんだと確信しました。ちなみに iphoneの各種モデルのページの長さは、2018年に確認してから現在までほぼ変わっていません。もしも長いウェブサイトの CVR が低かったら長いままにはしませんよね?
試しに今回 iphone 13のページをモバイルでスクロールしたところ、結構高速でスクロールしてヘッダーからフッターにたどり着くまで 27秒かかりました。
もし iphone のプロダクトページの長さが最適と仮定すると、携帯で上から下まで普通にスクロールして40〜60 秒ぐらいかかる長さのLPが適切ではないでしょうか?
これが現時点での僕の LP の長さに対する見解です。
台湾進出通販会社の LP の問題点
「うちは携帯でスクロールすれば40秒かかるから大丈夫」
「うちなんて60秒はかかるぐらいコンテンツは豊富にあるから大丈夫」
そうお考えの日系通販企業の方は多いと思いますが、問題は秒数ではなく内容です。実際に多くの企業のLPが抱える問題を3つ紹介します。
その1. 直打ちのテキストが少ない
日系通販会社の LP のデザインは、通常大部分を photoshop でデザインして PNG や jpeg にします。以下は某台湾進出通販メーカーのソースコードです。(ソースコードとは HTML とか CSS とかが見られる機能で、基本的に誰でも見れます)
赤線で囲った部分『.jpg』の記述は、イメージ画像をサイトに貼り付けていることを表します。一度 photoshop でデザインをして、 jpeg で保存したファイルをサイト上に貼り付けているということです。
画像を貼り付けるメリットはデザインの自由度が高いことです。
以下は一例ですがこんなおしゃれなテキストを CSS で再現することはできません。凝ったデザインをページ内に入れたい場合、通常はイメージ画像をサイトに貼り付けることになります。
しかし、デザイン性の高いテキストを使う場合以外は、テキストは html に直接打つことをお勧めします。
理由はGoogleがサイトの内容を判断しにくくなり、広告を出すときLPの有用性を表す評価(品質スコア)が低くなる可能性があるからです。
例えば以下のサイトは日系通販会社のLPです。難しい内容ではないのにイメージを貼り付けています。イメージはしっかりalt属性を指定しないと、Googleが内容を読み取れず、結果的にLPの評価が下がることがあります。
その2. モバイルのユーザービリティ
イメージばかりを貼り付けた LP の弊害はデザインにも及びます。Photoshop で、テキストを jpeg や png にしてLP を作ると、携帯で見た時にテキストが非常に小さく表示されます。
例えばデスクトップで以下のように見えるセクションがあったとします。
もし左側のテキストを HTML で直接打ち込んだら、モバイル表示の際、画像とテキストの位置を上下に配置させることができます。
これをレスポンシブ対応と言います。
一方、テキストと画像を 1つの jpegファイルにした場合、携帯で見るとまとめて縮小されます。具体的には、左がテキストを HTML で直接打ち込んだ場合、右がイメージ貼り付けをした場合の結果です。
右側のテキスト、ものすごく小さくなってませんか…?皆さんデスクトップで LPを確認するので中々気づかないんですよね….。
弊社では LP 制作時にレスポンシブ対応できるように、なるべくテキストは HTML で直接打ち込みます。でもLP制作会社にとっては手間なので、イメージ貼り付けばかりしてる手抜き会社も多いです。
その3. 画像ファイルが引き起こすローディング速度低下
次に、ローディング速度への影響についてお話しします。先ほどの某通販メーカーのサイトを lighthouse というサイト分析ツールで調べました。こちらがその結果です。
サイトのパフォーマンスは100点中29点と非常に低く、特に 『Time to interactive』(ユーザーが操作可能になるまで)に 22.8秒もかかってます。理由は画像ファイルの読み込みです。画像ファイルは多ければ多いほど読み込むのに時間がかかります。
ちなみに読み込みが遅くなると確実にCVRが下がるので注意が必要です。3秒以上かかれば50%が読み込み前に離脱するというGoogleの調査データもあります。
関連記事:ECサイトの業績に関わる“1秒”の価値。ユーザーの期待に応える表示速度を
追加. トラッキングと分析も大事
LP を改善するには、購入フォームはどこの項目で離脱しているのか、最初のキャッチを変更すると CVR にどんな影響が出るか、などデータを地道に取得し、分析する必要があります。
ですが地道な分析をやりたがらない企業は本当に多いです。短期的な利益を求めた結果、LPで成果を出せずに撤退していく日系通販会社をたくさん見てきました。
皆さんはそうならないように、ぜひ長く付き合える信頼できるLP制作会社と組んで成果を出してほしいと思います。
終わりに
LPはただ長ければいいというわけではなく、画像とテキストの使い分けや、地道な分析による改善が必要ということをお伝えしました。
applemint ではLP の制作時にベクターファイル(SVG)を使った本当のレスポンシブ対策や、分析のためのトラッキングポイントの企画と実装、ローディング速度への対応を行なっています。
特にトラッキングポイントの企画と実装は LP を最適化する上で必要不可欠です。さもないと当てずっぽうの仮説でどんどん新しい LP を制作する羽目になります。
applemint にとって LP とは、一度作ったら終わりではなく、クライアントと一緒に半永久的に改善していくものと考えています。ウェブサイトの長期的な改善をご希望の方には Google optimize を使用したウェブサイト改善サービスも提供しています。
結果の出せるLP 制作や LP 改善に興味がある方は、是非こちらからご連絡ください!
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