こんにちは!台湾でデジタルマーケティングの会社 applemint の代表を務める佐藤(@slamdunk772) です!
今日は2024年10月現在、台湾における有効なマーケティング戦略についてお話をしたいと思います。
具体的には、台湾の今の現状をざっくりお話をした上で、どういうマーケティング戦略を劣ればいいのか、というお話ができればと思っています。
今台湾で苦戦している日系企業の方や、今後台湾での販売を本格的にしたいと考えている方は必見です!
それでは、Let’s Go!
Contents
現状から:日本から輸出するモデルの可能性と限界
まずは、台湾の現状についてお話ししたいと思います。公式なデータがないため、あくまで私の個人的な感覚に基づいたものになりますが、AI時代においては、むしろこうした直感的な感覚が役立つ場面もあるかもしれません。
結論としては、2024年10月現在、日本の商品を台湾で売るのはかなり難しくなっていると感じています。
まずはマクロな視点からお話しします。以下のニュース記事をご覧ください。
『今年1至8月觀光逆差641萬人次 破歷年紀錄』(2024年1月から8月までの観光ギャップが641万人)
これはどういう事かというと、なんと2024年の1月8月にかけて、出国した台湾人の数は、1138万人で(リピート出国者も含む)、この数字は台湾に入国した人の合計数と比べて、641万人も多いという話です。
その結果、今年の台湾の観光収支の逆差は7,380億元 (日本円約3兆円超)に達すると予測されています。
また、記事には書いてありませんが、過去の統計から1138万人中少なくとも40%は日本へ行っていると思われます。つまり、台湾人の大半が日本の商品を買う場合、台湾国内ではなく、日本で消費をしているということになります。
また、代行サービスも盛んで、台湾版のメルカリShopeeには、山のように日本で購入してきたと思われる商品が出品されています。
つまり、2024年11月現在の台湾では、日本の商品は割と売れにくいマクロな環境があると考えていいと思います。
その1. 販路拡大のためにデジタルで実績を作る
そんな中でも、「台湾で販路を拡大したい」という声は根強くあります。台湾人がこれだけ日本に旅行し、日本で商品を購入しているのだから、台湾国内でも商品を販売したいという思いがあるためかと思います。
通常、台湾で商品を販売する際は、販売代理店を探し、その代理店に輸入を依頼し、代理店が持っている販路で商品を販売してもらう形になります。
しかし、販売代理店も売れるかどうかわからない商品を扱うリスクは避けたいので、慎重に選別します。また、台湾の小売店に商品を置いてもらうには、そもそも過去の販売実績が求められます。
もちろん、サツドラやマツモトキヨシなど、日本国内で良好な関係を築いている企業であれば、その延長で台湾でも商品を取り扱ってもらえる可能性はあります。しかし、売れなければ、最終的には小売店も我慢の限界に達し、契約が終了します。
さらに言えば、日本のドラッグストアチェーンも、台湾進出後の販路拡大に苦戦しており、現時点では販路としてまだまだ弱い状況です。販路を拡大するためには、どうしても台湾現地の小売店との関係を築く必要があります。
では、どうすれば台湾の小売店に商品を置いてもらえるのでしょうか?日本国内でどれだけ売れていても、台湾で同じように売れる保証はありません。そのため、まずはデジタル広告を通じて台湾での販売実績を作ることが一般的な流れです。
デジタル広告を通じて、台湾の消費者に対して一定の販売実績を積み、その実績を元に小売店と交渉を進めるのが効果的な方法です。
なので、台湾進出はデジタル広告とセットで考えるといいでしょう。
その2.自社ECのポテンシャルと設計
次に、デジタル広告を行う際に重要なのは、デジタル上のどこで販売するかという点です。
台湾には、momo、PChome、Shopeeといった有名なECモールがいくつかあり、そこで販売するか、または自社ECサイトで販売するかの選択を迫られます。
個人的には、自社ECサイトを諦めてはいけないと考えています。その理由は、momoなどのECモールに頼って販売した場合、購入者のリストを入手することができず、新規顧客の獲得は常に広告費に依存することになるからです。
CRM(顧客関係管理)ができなければ、いつまでも新規顧客獲得のために広告費を払うことになり、最終的に数年で撤退を余儀なくされることが多いです。
もちろん、Amazonで販売する場合と自社ECサイトで販売する場合を比較すると、ほとんどの場合、Amazonの方が購入率は高くなるでしょう。
通販企業はこれに対抗して、自社ECサイトで購入するメリット(例えば、定期購入や各種特典)を強調してきましたが、定期購入の文化があまり根付いていない台湾では、その戦略がうまくいかず、多くの通販企業が苦戦しています。
では、どうすればよいか?僕はよく、台湾の哺乳瓶メーカーであるSimbaの事例を紹介しています。
Simbaでは、毎月異なるオファーを提供し、momoや他のECモールよりも魅力的な特典があります。LINEの友達追加後に発行されるクーポンや誕生日クーポンの発行など、非常にきめ細かく設計されており、日本国内の自社ECサイト運営を見ているような印象を受けます。
ECサイトは、作っただけで満足せず、運営してからが本当の勝負だということを改めて感じさせられる事例です。
その3. マスを諦め小さく深く:ファン交流
今後の台湾におけるマーケティングですが、日本の商品を広く網を張ってマス(大衆)を狙うのは非常に難しいと感じます。
例えば、台湾の化粧品市場では韓国の化粧品の台頭が著しく、日本商品はかつてのような優勢を全く持っていません。このような状況で、マスに向けたコミュニケーションを続けると、結局誰にも響かない結果になりかねません。
台湾で日本の商品をマーケティングする際には、N=1(つまり一人に刺さる)マーケティングを意識する必要があると思います。特に、日本で製造され、台湾に輸入される商品は、そもそも価格が高いため、マジョリティ(大多数)に響くことは難しいです。
日本では、例えば人口の1%に満足されるニッチな商品を開発しても、1億2千万人の1%は120万人にあたります。しかし、台湾では1%の人をターゲットにしても、対象者の数はわずか23万人に過ぎません。
これが意味することは、今後台湾に進出する企業にとって、規模化(スケールアップ)は残念ながら非常に難しいということです。
したがって、次にお話しするように、特定のファンとの狭く深い交流がますます重要になってきます。一見すると割に合わないように見えるオフラインイベントなどが、今後ますます価値を持つと感じています。
その4. オフライン
applemint では、これまでKARADA factory (台湾) さんの集客のお手伝いをデジタルマーケティングでしてきたノウハウを活かして、店舗集客やセミナー集客のお手伝いを台湾でしてきました。
以下は僕らが集客をお手伝いしたイベントです。
いずれも予想をはるかに超える来場者がありました。
そのほかにも、実は不動産会社さんのセミナー集客などもひそかに手掛けています。オフラインの集客に関しては、僕自身が企画した廃棄野菜の販売イベントなどを除いては、比較的うまくいっています😅
また、時々お客様のファンミーティングに参加させていただくことがあるのですが、いわゆるロイヤルカスタマーと呼ばれる方々は、本当に熱意が高いと感じます。
余談ですが、今年の4月に紗倉まなさんを招いて性教育のイベントを行った際も、紗倉まなさんのファンの方々を目の当たりにして、こうしたオフラインイベントの積み重ねがとても大切なんだなと改めて実感しました。
その5. ショート動画の活用
最後に、ショート動画の活用についてお話しします。ショート動画の影響力は本当にすごいです。実際に、うちの元従業員がショート動画のバズをきっかけに、その後人気インフルエンサーになったほどです。それだけショート動画には大きな力があります。
*彼女はとても良い動画を作りますので、興味がある方はぜひ依頼してみてください!
僕も先日アップした動画が一本バズり、その後台湾で有名なバイリンガルのラジオ局から声がかかり、インタビューを受けることになりました(10/30にインタビュー予定)。
当然、企業もショート動画の可能性を理解しており、僕らもそのニーズに応えるために日々努力しています。
幸いにも、僕は2019年からYouTubeを始めており、ショート動画も2021-2022年頃から実験を繰り返してきました。その中で、たまにバズることもあったので、自信を持っています。
ただ、ショート動画のトレンドは本当に移り変わりが早く、常に研究を続けないと厳しいです。また、日本でショートドラマが流行しているように、台湾でもTikTokで中国のショートドラマが流行していて、僕らもショートドラマを作れる体制を整えています。
まだ具体的なことは言えませんが、台湾の某有名YouTube制作会社とタッグを組んでショート動画を展開する予定です。
さらに、Number_iのMVや企業のCMに携わっているカメラマンと協力し、本格的に動画コンテンツの制作提供を開始する予定です。
ご興味のある方は、ぜひapplemintまでお問い合わせください!
まとめ
まとめると、2024年11月現在、台湾では日本の商品を売るのが少し難しい環境になっている気がします。これが2025年や2026年にはどうなるかわかりませんが、現時点では厳しい状況です。
また、短期的な視点で自社ECサイトを諦めるのは理解できますが、それだけだと本当にジリ貧になってしまうので、中長期的な視点で運営することをお勧めします。自社ECサイトは作ること自体がゴールではなく、立てた後の運営にしっかりとお金をかけるべきだと思います。
さらに、オフラインイベントも比較的成功していますので、ニッチなターゲットに対してこまめにファンミーティングを開催し、交流を続けていけば、少しずつ広がる可能性はあると感じます。ただし、台湾の人口は2300万人ですので、日本のような収益を期待すると確実に期待外れに終わるでしょう。
また、費用対効果は必ずしも良いとは言えないでしょう。最後に、台湾でも日本同様、ショート動画が確実に流行しているため、今後はショート動画を巡る激しい競争が繰り広げられることになるだろうなと思っています。
以上、applemint代表の佐藤でした!
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