こんにちは applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です!
みなさんは「台湾」って聞くとどんなイメージを浮かべますか?「親日」、「グルメ」とかですかね?では、「台湾市場」と聞くとどんなイメージを持ちますか?「人口2300万人」….ぐらいしか思い浮かばないのではないでしょうか?
そこで、このブログでは台湾の内閣府にあたる行政院のサイトが公開している統計の数字を基に、もっと細かく台湾市場についてお話をしたいと思います。
具体的には
1. 経済成長
2. 台湾の物価
3. 台湾人の給与
4. 失業者/就業者
についてお話をします!台湾市場をリサーチする必要のある方や、今後台湾進出を考えている方のお役に立てればと思います!
台湾の経済成長
まずは台湾の経済成長についてお話します。参考にしたのは冒頭でもお話した通り行政院のサイトです。日本でいう内閣府のような機関です。クリックするとこんなサイトです。
まずは「経済成長率」からお話をしたいと思います。直近10年の経済成長率は以下です。
グラフ右側の線が一時的に8%を超えています。これは民国110年 (2020年) の第一クォーターの経済成長率です。世界がコロナで右肩下がりの中すごいですね….次にもっと長いスパンで見てみます。
ものすごい起伏です。この中でマイナス成長だったのは民國63年(1974年)、90年(2001年)、98年(2009年)です。1974年のマイナス経済成長の理由はわかりませんが、2001年はドットコムバブル崩壊で、2009年はリーマンショックの影響と思われます。
それ以外で見ると民國60年代(1970年代)、民國75年−83年(1986-1994年)は高い水準の経済成長が見られ、この時に台湾はかなり経済成長したと思われます。
直近は経済成長率が大体3-4%ほどで安定していて、今後お隣の中国のように劇的な経済成長が続くのは難しいでしょう。つまり、台湾の経済成長の結論を言うと、成長はしているけれども過度に期待はしてはいけないということです。
台湾の消費者物価指数
次に台湾の物価を見ていきたいと思います。日本では政府が消費者物価指数2%上昇を目指してデフレ脱却を図っていますが台湾ではどうでしょうか?
以下がサイトから消費者物価指数部分をスクショで取ったグラフになります。
今から約 6年前の物価を100とすると、現在は105.4で物価は確実に上がっています。直近だと2.62%物価が上がっています。
実際に僕も10年前の物価と比べて現在はかなり高い印象です。昔は60元でお昼ご飯を食べれる場所が結構ありましたが、現在では100元が当たり前です。台湾で物価の話をすると必ず議題に上がるのが給与です!
メディアは度々「物価は上がっているのに給与は上がらない」と嘆く台湾人の映像を流して政府を批判したり、マジョリティの共感を得て視聴率を取ろうとします。実際はどうなんでしょうか?
台湾人の給与
結論から言うと台湾人の給与は上がっています? 以下は台湾人の毎月の平均給与の推移を示したグラフです。
この青い線は工業及服務業每人 (工業及びサービス業) の方々の給与を表していて、これらの方々は 2020年11月現在平均で 43,643元もらっているようです。これにボーナスや臨時収入を足して、50,106元の給与を”台湾人”はもらっているようです。
ちなみに日本人の平均給与は400万−500万円と言われているようですが、果たしてどれだけの人が平均よりも多くの給与を得ているでしょうか?
おそらく結構な数の方が平均よりももらっていないと思います。その原因は給与が平均されるためです。東京で働く人と沖縄で働く人の給与を比較してもあまり意味はありません。台湾も同じで、高い給与をもらっている人は当然いっぱいいて、彼らはいっぱい持っていることをアピールしても何の得にもならないので黙っています。
また、給与は地方格差もあるので台湾人の本当の給与をみたい場合は地方ごと、或いは職種ごとに見るのが適切ですね。従ってこの4万3千元というのは国民の大多数の給与を反映したものではなく、実際は皆さん38,000 – 40,000元 ぐらいの平均給与なのではないでしょうか?
それでも台湾の人の給与は確実に上がっていると思います。
台湾の労働人口
現在日本はとんでもない人手不足で売り手市場と聞きます。僕は日本で船乗りをしている友人がいるのですが彼曰く現場には日本人よりもベトナム人や外国人が多いようです。
また、トラックや運送業も慢性的に人が足りず、彼らは長時間労働を強いられているという話を聞きました。台湾はどうでしょうか?まずは台湾の総人口に占める労働人口の割合を見てみます。
台湾の労働力は全人口の大体59% のようです。 日本は色々調べた結果2017年度の労働人口は総人口の約 53%の6720万人だとそうです。台湾は日本よりも総人口に占める労働者の割合が多いようです。(日本はかなり極端な高齢化社会ということもあります)
ただし、グラフをよく見ると、労働人口の比率が右肩に下がっているのがわかります。この労働人口比率は2061年には50%になると言われています。しかも台湾は出生率が低いことから2061年には人口が現在の2357万人から1700万人に減ると言われています。
単純計算をすると、現在2357万人の人口に対して労働力は59%あるので1,390万人の労働力があります。これが 2061年になると、人口1,700万人に対して50%の労働力なので….労働力は 850万人です。やばいです….
ちなみに完全に余談ですが台湾や中華圏の国では特定の干支の時に出生率が上がる/下がると言われています。出生率が上がるのは辰年で最近だと1988年、2000年、2012年で、シンガポールや台湾ではこれらの年に出生率が前年比で増加したようです。
次に中華圏の出生率が上がるのは2024年ですね 笑
龍は富と権力を象徴し、生まれた子は出世すると思われているようです。
ちなみに出生率が下がるのは寅年で、最近だと1986年、1998年、2010年です。そして2022年の今年はなんと寅年です? また、最新のニュースによると2021年の台湾の出生率は世界ワースト1位で、今年は寅年ということもあり更に出生率が下がるかもしれません….
人口は2年連続でマイナス成長なのに次から次へと立つ新築マンション….
まとめ
如何でしたでしょうか?今回がご紹介したサイトは数字がグラフになっていたので視覚的に色んな情報が見やすかったと思います。
まとめると現在台湾の経済成長は落ち着いていて、消費者物価指数は上昇の傾向があります。
平均給与は上がっているものの一部の金持ちが平均給与を引き上げている可能性が高く、国民の多くは給与アップを実感していないと思われます。。
台湾の就業人口は比率だけ見ると日本より高いですが、出生率が絶望的に低いので、今後20-30年はかなりやばいと思われます。
僕が投資家ならあまり台湾には投資したくないかも….苦笑
以上です!今回のブログで台湾市場をリサーチする方のお役に少しでも立てていると幸いです!
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