初めまして!台湾でデジタル・マーケティングの会社 applemintの代表を務める佐藤 (@slamdunk772) と申します。
弊社は起業して今年の9月を過ぎれば3年目に突入します。
ちなみに起業からこれまでの流れはコチラのブログに時系列でお話していますので是非ご参考ください!
台湾で起業は比較的しやすいと思いますが何をしようか悩む人は多いのではないでしょうか?今回は何をするかではなく何をしたらよくないか、台湾中小企業のデータ及び、セグメント別のビジネスモデルから見えた私の考えをお話したいと思います。
Contents
台湾の中小企業のセグメント別売り上げ
スタートアップは最初中小企業なので、まずは台湾の中小企業の売り上げ及び中小企業の企業数をお話したいと思います。
今回は台湾で起業をしたいと思っている方が、起業する可能性が高い6つのセグメントの2017年度の売り上げをグラフにしました。
それぞれ製造業、卸売・小売業、宿泊・飲食、IT業、不動産業、アート・娯楽業です。それでは見ていきましょう。
【参考:台湾経済部統計處(https://www.moea.gov.tw/Mns/dos/content/ContentLink.aspx?menu_id=9432)】
売り上げは製造業及び卸売と小売業がダントツに多く、宿泊・飲食業などの売り上げはそれらの 1/4 以下です。
中小の製造業の総売り上げは 4,279,660 x 100万台湾ドル→(4.27兆台湾ドル=15兆円ほど)です。
また、この数字は製造業の全体の30% ほどらしく、台湾の製造業が強いことを表しています。
次にこれらの6つのセグメントの中小企業の数を調べたいと思います。
もしかすると製造業の売り上げが多いのは中小企業が何百万もあるためかもしれません。
台湾中小企業セグメント別企業数
2017年度の台湾における中小企業数はコチラです。
【参考:台湾経済部統計處(https://www.moea.gov.tw/Mns/dos/content/ContentLink.aspx?menu_id=9432)】
中小企業数で一番多いのは卸売・小売業で、次に多いのは宿泊・飲食業です!
そして売上が一番大きい製造業は会社の数だと3位です。台湾では相当な数の飲食店が乱立しているのでなんとなく想像できますよね!でもちょっと待ってください…
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中小企業の宿泊・飲食業の売り上げは他と比べてかなり低かったイメージがありますよね…これはつまり会社の数は多いけれど各会社の売り上げは低いという事でしょうか?
そうなんです!中小の宿泊・飲食業の総売り上げは 468,385台湾ドル x 100万台湾ドル =4683億台湾ドル(約 1.6兆円)です。製造業の約1/15 です!
そして気になる企業数はなんと157,388社です。(2017年度)そうすると一社当たりの年商ってものすごく低そうですね…..気になったので宿泊・飲食業の1社当たりの年商を調べるついでに、他のセグメントも調べてみました!
台湾中小企業セグメント別1社あたりの平均年商
各セグメント1社あたりの平均年商を表したグラフがこちらです!
製造業は一社あたりの売り上げが約2900万NT (1億円ほど)あり、宿泊・飲食業に至ってはなんと平均で 297万NT (1000万円ほど)ほどしかないという結果が出てしまいました…..
(算出方法:各セグメントの2017年度中小企業年商÷2017年度中小企業数)
飲食店のリアルでハードな現実です。台湾の宿泊・飲食が如何に儲けていないのかわかりました。そして相当競争が激しいことも理解しました。
ここで勘のいい読者の方は、私が起業にオススメしないのが飲食と察するかと思います。そうなんです!(苦笑)そして今回は、その飲食業を利益構造及びビジネスモデルからさらに掘り下げてみたいと思います。
飲食業の売り上げ構造及びビジネスモデル
飲食業って原価はどれくらいで、全体でどれくらいのコストがかかっているのでしょうか?今回はベンチマークとして、松屋で有名な松屋フーズのP/L を参考にしたいと思います。松屋を選んだ理由は、飲食事業が売り上げの90%以上を占めていたためです。まずは連結の数字をご覧ください。
売上高は約930億円あります。続いて売上原価は約 300億円です。
売上原価の内訳を詳しく見ていませんが、仕入にかかった費用だとすると、300円の牛丼の原価は100円ほどということになります。売上総利益は約630億円です。
続いて販売費及び一般管理費は約580億円あります。そのため最終的に営業利益は48億円ほどで、営業利益率は約4%です。この営業利益から特別利益/損益をプラスマイナスし、法人税が取られた分がピュアな儲け(純利益)になります。
この利益構造を台湾の飲食業に応用したらどうなるか?
それではこの数字を台湾の飲食業に当てはめてみましょう。中小の飲食業の平均年商は300万台湾ドルほどでした。売上原価は30%ほどとして100万台湾ドルほどと仮定します。
次に販売費および管理費は、売上に対して60% ほどなので180万台湾ドルとします。この180万台湾ドルは自分自身の給与及びスタッフの人件費であり、毎月15 万NT ほどかかりそうです。
仮に自分自身に8万台湾ドルの給与を与えたとすると、あと雇えるのは多くて4-5人ほどでしょうか?もちろん、無理して雇わず営業利益をあげることは可能です!
営業利益は200万台湾ドル – (100万台湾ドル+180万台湾ドル) = 20万台湾ドル (72万円ほど)….さらに法人税が20% 引かれると純利益は 20万台湾ドル – 4万台湾ドル = 16万台湾ドル (57万円ほど)…..年間で会社として50万円ほどしか残らない計算になってしまいました…
では飲食が生き残る道は??
ここまで台湾で飲食業をしたら、中々儲からないとみたいな話をしていますが本当に飲食業はダメなのでしょうか?
飲食業の利益構造を考えたいと思います。
飲食業の利益構造を簡単に分解すると以下のようになるかと思います。
売上 = 客単価 x 客数 – 変動費(材料など)- 固定費(家賃、人件費) なので売上を上げるには
1. 客単価を上げる(一品の値段を上げる、注文させる数を増やす)
2. 客数を上げる
3. 変動費を下げる
4. 固定費を下げる
一品の値段を上げると客が離れそうですね….飲食の価格弾力性は大きそうです。
でも注文させる数を増やすのは比較的に現実的ですね。ブライアン・ワンシンクという教授が「そのひとクチがブタのもと」という本の中で、お客が食べ終わった皿を一瞬で下げることで、通常より多く注文させた研究結果を述べています。
次に客数を上げるですが、今後の集客は Google my business の活用やデジタルマーケティングが重要になりそうです。ただしこれらはミクロな売上増加に繋がるのみで、爆発的な売上アップには貢献しません。
私は飲食が売り上げをどーんと上げたい場合は、とにかく店舗数を増やすしかないと考えています。フランチャイズ化や実店舗をいくつも増やすのが、売り上げアップの鍵になりそうです。
まとめ
結論を再度お話します。ズバリ私が個人的に台湾で起業をあまりオススメしないのは業種は飲食業です。
誤解のないようにお話をしますが、安定的な集客に自信があって、尚且つ客単価が高い食べ物や、仕入れ原価が安くてすむようなものであれば勝機は十分あると思います。
ただしオープンと同時に次の2店鋪目、3店舗目のことを想像している必要がありそうです。
私は個人的に、固定費が比較的に多くかかるビジネスをしている方や、形あるものを生み出している方を尊敬しています。在庫管理や利益構造を考えるとかなりリスキーだからです。
飲食は起業のハードルが一番低いですが、安易に始めるとかなり苦しそうです。起業してたった2年のヒヨッコが、生意気にどんな業種はダメだとか言って厚かましい限りなのですが、今回は中小企業のデータを見て感じた私の率直な考えをお伝えしました。
しかしこんな希望が薄そうな飲食セグメントなのですが、私は飲食業こそ今後デジタル・マーケティングが一番必要になるセグメントだと思っています。Google は Google Duplex という自動音声 AI を開発し、指定の電話番号に電話をすれば AI が勝手に予約データを入力できるようにしています。
音声によるレストランの検索も本格的に始まりそうです…
Google my business はプロモ投稿画面が新しくなりそうです…
applemint ではなんらかの形でコラボ出来たらとは思っていますが、利益構造上、飲食業に広告予算がないのは知っているので、なんらかの形で弊社のブログが助けになれば幸いです!
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