こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
みなさん台湾のプロモーションやウェブマーケティングはどのように企画していますか?きちんと企画しないと広告費をドブに捨てるなんてことがおきます。
本当です。今回は台湾でウェブマーケティングをきちんと計画せず販売チャネルを増やしたことで、自分たちの首を締めた実例をご紹介します。このブログが失敗を回避するヒントになれば幸いです。
背景
某社は2020年の1月頃に台湾に進出し、ウェブのプロモーションを開始しました。仮にここではこの会社を ABC と名付けます。
ABC のプロモーションをお手伝いするのは DEF という会社です。DEF 社は Facebook の広告及び Google 広告を行っています。そのほかインフルエンサーを手配して、Facebook 広告と連動させています。
ここまではごく普通です。しかしこの後 DEF 社は大きなミスをします。
販売チャネル多角化とデジタル広告無効化
その後2ヶ月経ちましたがデジタル広告からのコンバージョンが一向に上がりません。そこで少しでもコンバージョンを上げるために、DEF 社は販売チャネルを多角化しました。具体的には PChome 及び Shopee という台湾の大手 EC サイトへの出店です。
つまり DEF 社は自分達の LP だけでなく、大手の EC サイトでも購入が出来るようにしたのです。これが何を意味するか少しお話をします。
自社サイトと EC サイトのメリットデメリット
EC サイトへの出店と自社サイト (LP) 販売がウェブマーケティングにどのような影響を与えるか知るため、まず双方で物を売るメリットとデメリットを簡単に述べたいと思います。自社サイトで物を売るメリットはデータの収集です。
Google Analytics のタグを埋めれば、購入者のサイト滞在時間、購入者が閲覧したページ、購入までのフローなどを把握できます。これによって LP の具体的な改善策や広告運用のターゲティングが見えてくるでしょう。
また、Facebook の pixel コードを入れて購入者のデータが集まれば、Facebook が運用を最適化してくれます。逆に自社サイトで物を売るデメリットは消費者のユーザビリティが低いことです。
具体的には LP 内のログインやクレジットカード情報の入力です。自分が使ったことのないサイトにクレジットカードの情報を入力するのはやはり嫌なものです。「氏名」「住所」といった個人情報もできれば渡したくないですし、入力は手間です。
EC サイトのメリット・デメリットはこの真逆です。メリットはカード情報や配送先の入力情報の手間が省け、安心感があることです。
逆にデメリットはユーザーの詳細なデータが取れないことと、広告運用の最適化ができないことです。また、出店側は手数料が取られるので利益が減ります。
消費者を考える
それでは、話を戻しましょう。DEF 社は LP でモノが売れない焦りから販売チャネルを多角化し、EC サイトへ出店しました。
LP を構築した後に EC サイトに出店をすることは本来非常に気をつけなければいけません。例えばもしあなたがすごい欲しい商品があって、その商品が Amazon と LP で売られていたらどちらで買い物をしますか?
Amazon ではないでしょうか?僕だったら Amazon です。なぜなら Amazon で買えば安心感と購入データ入力の手間が省けます。中には本ページ (LP) という方もいるでしょうが、重要なのは購入経路が分散することです。
つまり…..
DEF 社は販売チャネルを多角化したことで、今後は EC サイトでの購入が増え、LP サイトの購入が減ることが予想されます。CV が増える可能性があるので顧客からしてみれば嬉しいと思います。
しかし同時に LP 側は購入データが集まらず広告の最適化も出来なくなるなため、CV の獲得はどんどん難しくなります。そのため今後はデジタル広告の効果指標を CV や CPA にしても意味がありません。
顧客には現状を話して認知度アップを目的としたデジタル広告に切り替える必要があります。しかし多くのクライアントは恐らく納得しないため、遅かれ早かれデジタル広告は停止する可能性があります。
DEF 社は顧客から出店手数料をもらえるかもしれませんが、広告運用による手数料は追々諦めることになるでしょう。また、わざわざ作った LP やそれに付随しているカートは無意味になります。
ウェブマーケティングは慎重に&目的を明確に
いかがでしたでしょうか?日本で通販やダイレクトマーケティングを主体とするクライアントや広告代理店はこういったミスをしません。
しかし、ダイレクトマーケティングやウェブマーケティングに疎いクライアントや代理店はきちんと考えずにこのようなミスを犯します。今回のミスは EC サイトを利用したことではなく、よく考えずに EC サイトと LP を同時に利用していることです。
大手 EC サイトを利用することは決して間違っていませんし、CV 数増加に貢献すると思います。また、EC サイトの購入数が上がるようにデジタル広告を行えばそれは非常に合理的です。
この施策を選んだ場合、LP よりも HP を制作して消費者に会社情報を提供した方がいいと思われます。残念ながら LP の制作費やカート代はドブに捨てたようなものです。CV を目的としたデジタル広告もかなりの無駄でしょう。
改めて台湾でウェブマーケティングを行う場合は、各施策のメリット・デメリットを理解しきちんと計画的に進めた方がいいです。それが出来ない場合は出来る人に少しお金を払ってでも相談するべきです。
今回のケースは台湾で初めて見たケースではないのでくれぐれもご留意ください。以上台湾の現場からでした!
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