こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
2017年に台湾で創業した applemint はその後 4年間乗り切り、5年目に突入しています!(パチパチ)
ちなみに4年目は色々ありました… (泣)興味がある方は以下のブログをご覧ください。
これまで台湾で起業して4年ほど経ちましたが、本当に色んな Taker に会ってきました(苦笑)。この4年間で学んだ事の一つが、taker (奪う人) って結局自分たちが考えているほど得をしていないという事です。
ちなみにここで皆さんに衝撃的な事実をお伝えします。僕は個人的に台湾の会社は Taker ばっかりだと思っています…あ、でも日本で起業した人も同じような事をいうかもしれませんね。
今回のブログでは、Taker の具体的なエピソードを交えて、「でも Takerって意外と Take できてないよね」って思った経緯についてお話ししたいと思います!また、僕がこの4年間 台湾で多くの Taker の人を見てきて分かった Taker の人の特徴についてもお話ししたいと思います!
※2021年10月09日:内容一部編集
※2022年9月24日:taker の特徴更新
Contents
Taker とお金持ちについて
Taker の実例の話をする前に、Taker について西野亮廣氏が面白いことを話していたのでご紹介します。
彼がある日 Voicy にアップしていたコンテンツのタイトルが「奪う貧乏人と与える金持ち」で、 Taker について話をしていたのですが、彼曰く一番金持ちなのは Giver (与える人)で、次に金持ちなのは Taker (奪う人)、最後に貧乏なのは Giver なのだそうです。
はて?
Giver が金持ちと貧乏にいます。この2つの Giver は何が違うのでしょうか?
西野亮廣氏いわく、金持ちの Giver は Taker を避けて Giver と付き合う人で、貧乏な Giver は Taker を見分けられず、Giver にも Taker にも与えてしまう人だそうです。
また、Taker は結局 Taker と一部の Giver からしか奪えないので、奪えるパイが少なく、一部は金持ちになるけど、ほとんどは金持ちになれないと語っていました。
なるほど、と思いました。最後に彼は、損得ばかり考えるような Taker になるのはやめて Giver になって Giver と付き合いましょうよ!みたいなことを言っていました。
この話を聞いてから数日後、ちょうど次のブログの企画を考えていた時に、今年出会った Taker の会社が広告を出しているのを見て、Taker についてのブログを書くことに決めました。
Take しようとして何も Take 出来なかった某A社
ここで本題の 2019年に出会った Taker (某A社) の実例と、なぜ Taker は得をしないと思ったかご紹介したいと思います。
台湾にある某A社は今年夏頃に、弊社にデジタル広告の運用を依頼してきました。その当時うちは一応リソースがあったので、とりあえず話を聞くことにしました。まずは、僕が applemint のプレゼンをしました。
applemint ではデジタル広告の管理画面を共有して透明性を確保し、相手のニーズに合わせて柔軟にプライシングします。デジタル広告運用の管理画面を共有することは賛否両論あって、共有する会社としない会社で50:50ぐらいに分かれます。
広告の管理画面を共有すれば広告の配信先や費用が全て見える一方、広告代理店側からすると設定が公開されるリスクがあります。
この管理画面を共有することですが、実はこれって Taker からして見れば最高なのです。なぜなら Taker は管理画面を共有してもらえれば、デジタル広告の運用設定や運用方法をそのまま丸パクリ出来るためです。
丸パクリしてしまえば、後々 applemint には手数料を払わず、自分達でやれます。ただし、設定をパクって逃げるためには一つだけ障害があります。それはデジタル広告のアカウントを自分達で持つことです。
通常デジタル広告は広告代理店が広告アカウントを所有し、顧客の広告費を先払いして、翌月末に顧客に広告費と手数料を請求します。
アカウントの所有権を持つには自分たちで広告アカウントを開くしかありません。広告代理店は通常アカウントの所有権を顧客に渡すようなことはしません。
しかしお人好しな applemint は広告管理画面を共有するだけでなく、何ならアカウントの所有権もクライアントに渡します(笑)アカウントの所有権までクライアントに渡せば、クライアントは逃げ放題です。
話をこの某A社に戻すと、僕がプレゼンをしている最中、当然の事ながらこの A 社の担当者は嬉しそうな表情を浮かべ、しきりに広告アカウントを自分達で開けたい旨を僕に告げました。
また、この担当者は何度も何度も自分たちでアカウントを開く場合のフローを僕に確認してきました。
そして契約….なんてする訳ない(笑)
僕はこの会社 (人) Taker だなーとわかっていましたが、警戒しながらやれば大丈夫かなと思って一応契約書の準備を始めました。日系の東証一部上場企業ということもあり、そこまでやばくないだろうという気持ちもありました。
また、この会社と出会う前に、僕は別の Taker からアカウントを丸パクリされて逃げられたことがあったので、免疫はついていました。そこで、今回は準備万端で広告運用代行の契約書を隅々まで弁護士と確認して某A社に提出しました。
後日、相手側からありえない修正依頼が来ました。修正 /追記依頼を簡単に要約すると以下です:
- 向こうからのありえない要求一覧
-
・applemint が考えた広告文や広告素材の所有権は全て某A社に属する。
・applemint が考えた広告文や広告素材が罰せられても、某A社は責任を持たない。
・某A社は広告文や広告素材を確認する義務はない。
・某A社が手数料を振り込む際にかかる銀行間の手数料は applemint は負担する。
どう思いますか?お前らどこまで Take するんだって思いました。(苦笑)
広告文や広告素材の所有権は欲しいが、罰せられたら applemint の責任ってやばくないですか?笑
極め付けは、銀行間の振込手数料約 30NT (約100円) を applemint に負担させようとするケチさ (笑) 東証一部なのにやべーと思いました。振込の手数料を僕らが負担したことを今まで一度もありません。郵便物を毎度着払いにするようなもんです。
売上は欲しかったのですが、いくら契約書の再考を要求しても改善しないので、後日丁重にお断りしました。その時のやり取りは以下です:
某A社:「契約書が中国語だから僕契約内容あんまり把握してないんですけど、ご迷惑をかけてすみません!あれ、僕じゃないんですよ!うちの法務がうるさいんですよ!」
僕:(「代表者ならスタッフに翻訳してもらって確認しろ…ってか把握してないって嘘でしょ。Taker はお前だよ….」)
某A社のその後
その後、某A社のデジタル広告出ないかなーと思って、Google の検索広告や Facebook 広告を確認していたのですが、いつまで経っても出てきません。
中々協業先が見つからなかったのでしょう。そして僕らが契約をお断りしてから半年後にようやく彼らの広告を確認できました!しかし…..そのデジタル広告がめちゃくちゃ手抜きなのです。見る人が見たら手抜きがすぐにわかります。
僕が察するに、結局最終的に手抜きの業者としか仕事が出来なかったのでしょう。つまり超 Taker の 某A社は、目の前のコスパや自分達の利益ばかり考えた挙句、テキトーな業者としか仕事が出来ず、その広告が手抜きなので実は一番損をしたということです。
また、Taker でなければすぐに契約を締結して始められたデジタル広告が、結果的に半年間ほど広告をできなかったので、その間の時間の機会費用は莫大です。
この事例の他にも以前知り合いが目先の利益ばかり考える KOL の会社に騙され、両社の信頼関係が一瞬で壊れた事例もありました。詳しくは以下のブログに書いています:
僕が思う taker の特徴
applemint みたいに小さくて弱い広告代理店には様々な Taker がアプローチしてきます。「君たち売上欲しいんでしょ」みたいな感じで上から目線で来る業者が割といます (泣)
基本的には台湾の会社に Taker が多いのですが、日系の会社にも結構います。何なら世の中8割が Taker なんじゃないかって思います(笑)Taker とのやり取りを通じて、僕は いくつか Taker の特徴を理解し始めました。参考になるかわかりませんが、僕の考えを共有します。
1. すぐに値切る人:手数料や制作費をすぐに値切る人はほぼ Taker です。あと、法外に見積もりをしてくる人も Taker だと思っています。(まー海外でビジネスすると、値段の交渉は不可避です。いつもすごい時間がかかってムカつきます…)
2. お金の話が多い人:「この商品を多くの人に知って(買って) もらいたい」という人と「売上を上げたい」っていう人って結果は同じかもしれませんが目的が違うんですね。taker は後者の「売上を上げたい」と強調する人に多い印象です。
3. 平気で嘘をつく:嘘なんてすぐバレるのに Taker はよく嘘をつきます。
4. 契約書に署名をしようとしない人:過去の Taker を振り返ると皆契約書を署名せずに仕事を始めようとしたことに気づきました。契約書にサインしようとしない人は要注意です。
5. 人の成長を喜ばない人:うちのクライアントの中に 「applemint のクライアントが増えたらうちの仕事が雑になるから増えて欲しくない」という人がいます。どれだけ僕らを独占したいんですか!?(笑) こういう人は経験上 Taker が多いです。
6. 人の時間を平気で奪う人:人の時間を何とも思っていない人も Taker が多い印象です。
ここまでが、2021年の内容でした。最近新たにわかったもう一つの taker の特徴は、『お礼を言わない人』そして、『人を見て態度を変える人』です。
この話についての事例は今度 applemint のポッドキャストでお話しをしようと思います。
Taker と仕事をするとうちのスタッフが疲弊するので、状況を見て断れれば断ります。しかし世の中80-90% taker なので、Taker のお客様とももちろんお仕事をしています。詳しくは次の章で話します。
僕のスタンス
Taker を極力避ける僕ですが、実は僕も以前は taker でした。
お金や利益のプラス/マイナスばかり考えて、仕事も何でもメリットがあればやる、なければやらないみたいな奴です。でも2019年に態度を改めました。
※2021年に20代の Taker に会い、自分の若い時を思い出しました。若い時ってビジネスをプラスとマイナスでしか考えられないんですよね…苦笑
なぜ態度を改めたのかと問われても答えるのが難しいのですが、 2018年から少しきつくても誠実で Give する精神によって顧客がついてきてくれたからだと思います。
現在僕の案件を受けるかどうかの基準は「儲かるかどうか」から「この人を助けたいかどうか」「事業が面白いかどうか」にシフトしつつあります。
変な話、あまり予算がなくても面白いプロジェクトや Giver の人、リスペクトを感じられる人だったら普通に受けます。でもだからと言って、 Taker との仕事を全て断ってるわけではないです。
なぜなら向こうも僕らに助けを求めに来てくれているので、それはやはりありがたいことですし、引き受けています。誤解のないように話をすると、相手が Taker だからといってうちは手を抜いたり、仕事をしなかったりというわけではありません。
ただ、残念ながら Taker の顧客は見積もりに明記されたサービス以上のことを受け難いというだけです。
なぜなら Taker は度々 Take しようとするので、こちらが無償で何か提供すると要求がエスカレートし、うちが疲弊するためです。これに対して、Giver は見積もり以上のサービスを得られる可能性があります。
また、Giver の人に会ったら僕も最大限の Give をしているつもりです。例えばうちの顧問弁護士は Giver なのですが、僕は顧問弁護士の契約料を一切値切ってません。
支払いもすぐにして、僕の疑問にもすぐに対応してくれます。結果、僕は色んな方にこの弁護士を紹介しています。Giver の弁護士はトクをしているということです。
applemint とこの弁護士事務所の年間契約時間は 50時間相当なのですが、毎年多分50時間を超えています。時間超過したらいつでも言ってくださいっていつもリマインドしますが、いつも「まだ大丈夫」と返ってきます。
損得で考える言い方は好きではないですが、結局 Giver に Give をしたら一番得するんですよね。
以上台湾から Taker に関してでした!
applemintへのご相談やご連絡はこちらから!