こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
実は4年ほど前に、このブログで台湾の「イチゴ族(草莓族/ツァオメイズー)」について書いたことがあります。
先日それを読み返したのですが、正直なところ「今の台湾とはちょっと景色が違うな」と感じました。
言葉そのものはまだ残っているものの(あまり聞かなくなった)、指している中身も、それを取り巻く社会の空気も、この数年でけっこう変わっているんです。
そこで今日は、あのときのイチゴ族の話をベースにしつつ、2026年の台湾で僕が現場で見ている「世代」と「働き方」の話として書き直してみようと思います。
台湾で採用に苦戦したり、若いスタッフと一緒に広告を作ったりしてきた、一経営者のリアルな観察として読んでもらえると嬉しいです。
Contents
そもそもイチゴ族(草莓族)とは何だったのか

イチゴ族とは、ストレス耐性が低く、ちょっとした圧力ですぐに潰れてしまう若い世代を指す台湾のスラングです。
やわらかくて傷みやすいイチゴに例えて、そう呼ばれます。
日本でいう「ゆとり世代」に近いニュアンスで、「打たれ弱い」「すぐ会社を辞める」といった、わりとネガティブな文脈で使われてきました。
ただ、ここが2026年的に面白いポイントなのですが、もともと草莓族と呼ばれていたのは1980年代から1990年生まれ、つまり今のミレニアル世代から一部のZ世代です。
当時さんざん「打たれ弱い」と言われたその人たちも、もう30〜40歳前後になりました。
そして「打たれ弱い若者」という矢印は、今ではそのまま下の世代──Z世代(1990年代後半〜2000年代前半生まれ)に向けられています。
台湾でも「今どきのZ世代はいちばん一緒に働きにくい世代だ」といった雇用者アンケートが、定期的に話題になります。
要するに、いつの時代も「最近の若いやつは」と言われ続けているだけで、ラベルが世代を移動しているだけなんじゃないか、というのが今の僕の正直な感想です(笑)
僕がイチゴ族と出会った日(この原体験は今も変わらない)

僕が「イチゴ族」という言葉を初めて知ったのは、『我們與惡的距離』という台湾ドラマでした。
劇中で、辞めようとする部下に対して登場人物が「あなたも結局その辺のイチゴ族と同じなのね」と言い放つシーンがあって、そこで覚えた言葉です。
その後、実際に「これがイチゴ族か」と肌で感じたのは採用の現場でした。会社が少し成長して人が必要になり、人材会社の担当者に「営業職で求人を出したい」と相談したときのことです。
返ってきた答えは、当時の僕にとってなかなか衝撃的でした。
曰く、「今の台湾の若い人は、とにかく営業をやりたがらない。お客さんに会いに行って、断られたり叱られたりするのが嫌だから」。だから営業職の採用はかなり時間がかかる、と。
この言葉を聞いて以来、僕は営業窓口(広告代理店のアカウントポジション)の方を面接する際は必ず、”営業は行きません!営業は僕が行くのでご安心ください”と伝えています😅
そうでもしないと誤解され、断られる可能性が高くなるからです😱
もう一つ、知り合いの広告代理店にいた、いわゆるイチゴ族と呼ばれていた子の話もよく覚えています。その子はお客さんと直接会うのが苦手で、ずっと裏方で広告運用だけをやっていたそうです。
あるときクライアントが来社することになったので、、上司の方はせっかくなので、そのクライアントに関係しているスタッフを呼んで挨拶してもらおうと思ったら、その指示を断ってまで、顔を合わせるのを拒んだそうです。
後々理由を聞いたら、「クライアントに怒られたくなかったから」と言ったそうです。いや、ただの挨拶なんですけど…😅
ついでに言うと、この方は上司とのやり取りも避けがちで、理由は同じく、「怒られるのが嫌だから」というオチだったそうです(笑)
ちなみにイチゴ族の特徴についてもっと詳しく知りたいという方はコチラのwikipedia をどうぞ(中国語)。
以下、いくつか wikipedia から抜粋しました:
- 台湾いちご族の特徴
-
1. ストレス耐性が低い
2. 忠誠心が低い
3. 従順さが低い
4. 個人の権利が集団より優先される
2026年の「イチゴ族」は、躺平(タンピン)とZ世代へ

2026年現在、イチゴ族はほとんど聞かなくなりました。その代わり、例えば中国では「躺平(タンピン)」という一日中寝そべっている人を描写する言葉が出てきました。
出世や競争のために必死で頑張るのをやめて、最低限の生活で淡々と生きる、という若者の姿勢を指します。
もともとは中国で広まった言葉ですが、台湾の若い世代の空気ともよく重なります。
さらに最近は「微退休(プチ退職)」という言い方も出てきました。
定年まで働き続けて一気に引退するのではなく、若いうちから無給休暇や短期離職をはさんで、こまめに休みながら働く、という考え方です。世界的にも “micro-retirement” として語られるようになっています。
先日試用期間中に残念ながらバイバイした方は、うちのスタッフの話を聞くとその後転職活動をすぐにスタートせず、沖縄旅行や日本の色んなところへ旅行に行ったそうです。
また、台湾のスタッフの多くは、会社を辞める際に次の行き先を決めずにとりあえず辞めて、まずは旅行へ行く傾向があります。
僕だったら次の仕事が決まってないのに、辞めるのは心配でそんな事はできませんが、この辺は考えや習慣が違うんだろうなーと思います。
ここで、デジタルマーケティングの会社を9年やってきた立場として強調したいのは、これを単なる「若者の甘え」で片付けると、台湾という市場の本質を見誤る、ということです。
台湾の最低賃金は、2026年1月から月額29,500台湾元(およそ14万円台)に上がりました。
10年連続の引き上げで、政府も「低賃金世代から脱却させたい」と公言しているほどです。裏を返せば、それだけ長く賃金が低く据え置かれてきた、ということでもあります。
一方で、台北の家賃や物価は上がり続けています。
この状況で「必死に出世を目指すより、ほどほどに働いて自分の時間を大事にする」を選ぶのは、僕にはむしろ合理的な判断に見えます。
躺平はサボりというより、割に合わない競争から静かに降りる、という意思表示だと思っています。
起業9年、経営者・人事としてたどり着いた「対策」
では、こういう世代と会社はどう付き合えばいいのか?
4年前の僕は「合わなければ試用期間中にお別れすればいい」と、わりとドライに書いていました。
今もそれが間違いとは思いませんが、付け加えたいことが増えました。
一つは、「変わるべきは若者ではなく、雇う側のマネジメント」って話です。
マネージメントは時代に合わせて変える必要があるので、当然っちゃ当然ですね。
以前ある台湾人管理職の方から、最初は「あまり仕事ができない草莓族だ」と思った新人が、関わり方を変えただけで数か月後に主力になった、という話を聞きました。
同じ人でも、置き場所と接し方で結果がまるで変わる。これは精神論ではなく、採用コストの話としてもバカにできません。
結局は、特技に合わせてポジション配置ややる仕事を変えればいいんです。
二つめは、最初に期待値を正直にすり合わせることです。たとえば給与の高いポジションは、どうしてもコミュニケーション能力やリーダーシップ、それなりのストレスを引き受ける覚悟が必要になります。
それが難しいなら、そのポジションと給与は厳しい──これを最初にフェアに伝えておく。逆に、競争より安定を望む人には、それに合った役割と評価を用意する。
みんながエースである必要はなくて、サッカーチームにディフェンダーが要るのと同じです。
得点を取るのが得意でない人に得点を期待しても自分が残念な気持ちになるだけです。
起業してから数年は若さもあって、イチゴ族に対していちいちイライラしていましたが、もしかしたら大人になったのかもしれません😅
以上、applemint代表佐藤からでした!
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