こんにちは、applemintの木村です。
台湾に移住して8年目、現在はapplemintの営業として日系企業のB2B・BtoC双方にデジタルマーケティングや台湾でのプロモーションをご提案しています。
このシリーズでは、applemintの営業活動で実際に進んでいる案件をもとに、現場のリアルな気づきをお届けしています。第2回となる今回は、日本で認知度の高い美容家電の台湾展開から見えてきた、体験型プロモーションの可能性と落とし穴についてです。
この記事でわかること
- 台湾ECで割引訴求に踏み込むことのリスク
- 台湾のホテル×ブランドコラボの実例と、そこに共通する「型」
- 台湾の法律で使い捨てアメニティの提供が禁止に──そこに生まれた空白
- 実際にホテル担当者から返ってきた、前向きな反応と厳しい指摘
台湾でBtoC商品の新規参入を検討している方、デジタル広告だけでは購入数が伸び悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
Contents
なぜ「半導体商社」が美容家電でBtoCに挑むのか

今回の商談相手は、本業が半導体を扱う商社様です。長年BtoBのルート営業で事業を作ってきましたが、経営発展のためB2C商品にも挑戦しようと、美容シャワーヘッドで台湾市場に参入しました。
とはいえ、この決断が最初の壁にもなりました。BtoBとBtoCでは必要なスキルもKPIも違い、社内にBtoC経験者がおらず販売ルートも一から作る必要がありました。決裁権は台湾法人責任者(日本人)が持ち、KPIの具体的数字よりまず販売開始が先決、という印象でした。
EC販売が伸びているのに、なぜ割引ではなく体験を提案したのか

この商社様はPChomeやmomoを主力に販売を進めています。美容シャワーヘッドは日本で認知度が高く、台湾の美容関心層にも商品名は知られ、EC上の販売は伸びています。
具体的な数字は非開示ですが、販売開始当初は2〜3日に数個だった発送が、現在は毎日数個まで伸びています。これが今の2倍になれば専任担当者を1名採用できる水準とのことです。
多くの企業が選ぶのはEC上での割引訴求強化です。キャンペーン期間に合わせて価格を下げれば短期の売上は動きますが、高単価商材では台湾での副作用が大きい。一度値下げすると「キャンペーン期間を待つのが正解」という学習が起き、平常時の売上が減り値引き幅も戻せません。つまり割引訴求は売上を前借りしているだけになりやすいのです。
だから、割引ではなく体験を通じて高単価商品への購入納得感を持ってもらうことが重要と考えました。そこで最初に選んだ「体験の場」がホテルです。
台湾のホテルコラボには、はっきりした「型」がある

台湾でも「ブランドとホテルが組んだプロモーション」は実施されており、台北市を中心に以下のような事例があります。
| ジャンル | ホテル × ブランド |
| 家電体験型 | ・台北遠東香格里拉×LG(ThinQ套房) ※参考:https://www.lg.com/tw/about-lg/press-and-media/lg-shangri-la-hotel-thinq-room/ ・台北新板希爾頓×BOSE ※参考:https://www.caesarpark.com.tw/news-detail/424/ |
| 美容・化粧品連動型(日系ホテル含む) | ・ホテル・ニッコー高雄×Sisley/Estée Lauder ※参考:https://www.nikkokaohsiung.com/news/room-packages/ |
(※各社公式サイトより)
ここで重要なのは共通する設計です。LGは2020年に宜蘭のヴィラで実験を始め、2024年に台北の遠東香格里拉へ進出という、地方検証から旗艦ホテルへ進む順番を踏んでいます。企画は「体験して終わり」にせず、2024年は宿泊客に13,900元相当のスピーカーを、2025年版では7,290元相当のモニターと1人3,000元の購入クレジットを用意し、体験後すぐ販売チャネルへ送客する設計です。前年の評判を受け毎年拡充されており、ホテル側にとって成立するモデルです。
見落とされている追い風:台湾では使い捨てアメニティが禁止に

台湾では2025年1月1日から、180ml未満の使い捨て液体アメニティや歯ブラシ・カミソリなど個人衛生用品の陳列提供が、環境部の規定で全宿泊業に禁止されました。一部ホテルの取り組みではなく、法律による全国一律の規制です。
つまり台湾のホテルは、消耗品としてのアメニティを法律で減らす一方、宿泊体験の質は落としたくない。ここに据え置き型のブランド体験の空白が生まれています。
シャワーヘッドは、この空白にほぼ当てはまる商材です。消耗品でなく設備側で、節水にもつながり、美容関心層の宿泊体験のグレード感を上げられます。
台北の日系ホテルへの提案と、返ってきた「厳しい指摘」

現在検討しているのは、台北市内の日系ホテルにサンプルを提供し、宿泊プランの特典として体験してもらう企画です。ホテルには台湾人だけでなく韓国人・日本人の宿泊客も多く、まずは台湾人宿泊客への体験提供と口コミ拡大を狙っています。
ホテル担当者からは「面白い企画」と前向きな反応をいただきましたが、「過去に日本で同種の企画をやったが成果につながらなかった」という指摘も受けています。正直、この一言が商談で一番価値のある情報でした。前例が失敗しているなら原因を潰さない限り同じ結果です。
失敗の原因は、過去の企画が対象ホテルの想定ユーザー層とミスマッチしていた可能性がある、というのがホテル責任者の見立てです。私たちの仮説は、失敗の多くは「体験後すぐ買える状態になっていなかったこと」に起因するというものです。LGが体験に必ず購入クレジットや現品進呈を組み合わせていたのは偶然ではないでしょう。今後、3社で商談を持ち企画に詰めていきます。
applemintがこの案件で提案できること

applemintは台湾でデジタル広告運用を軸に事業を作ってきましたが、この案件では企画コンサルから現地素材制作まで一体で担当することを提案しています。
領域を広げるというより順番の話です。広告運用のデータがあるから体験を設計でき、その反応をまた広告のクリエイティブに活かせます。
方針は大きく仕掛けず、小さなポップアップから反応を確かめ、型が見えてから拡大します。LGが宜蘭から台北へ進んだのと同じ順番です。百貨店や美容施設との連携は次のフェーズです。
よくある質問
台湾のホテルにコラボを持ち込むには、誰に話をすればいいですか?
マーケティング担当者か施設責任者へのアプローチが近道です。今回は台湾で培った人脈で、日系ホテルの総支配人に直接交渉できました。日系企業と台湾企業をつなぐ人脈もapplemintの強みです。
企画の相談から実施までのリードタイムはどのくらいですか?
初回商談が7月下旬、ホテル側の返答が8月第一週でした。3社商談は8月下旬〜9月上旬が目標です。実施までのリードタイムは、このシリーズで追ってお伝えします。
まとめ
- 台湾のホテル×ブランドコラボは珍しくない。成功例には「地方で検証→台北へ」「体験に購入導線を接続」「単発で終わらせない」という共通の型がある
- 台湾では法律で使い捨てアメニティの提供が禁止され、据え置き型のブランド体験が入る空白が生まれている
- 体験プロモーションは、購入までの導線を綿密に設計できるかが分岐点
今回紹介したのはまだ提案段階の企画です。販売ルートを持たなかった商社様がBtoC販売に挑み、価格の壁を体験で越えようとする過程は、台湾で新規参入を検討する企業の参考になるはずです。3社商談の結果は改めてお伝えします。
applemintでは、台湾でホテルや小売とのコラボを検討されている方へ、どの施設が自社商材と噛み合うか、当たり先の洗い出しから一緒に整理します。30分ほどお時間をいただければ、成立しそうな座組みをお返しします
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